コンパクトなボディにハイパワーなエンジンを搭載するというのは、何ものにも代え難い魅力がある。そんな“ホットハッチ”と呼ばれるクルマの中でも、とくにゴルフRとメガーヌR.S.は世界中の人たちを魅了してきたといえるだろう。今回はその最新かつ最強なモデル2台を集めて、改めてその妙味を再考した。(Motor Magazine 2023年12月号より)

ニュルブルクリンクで作り込まれた2台は間違いなく秀逸で楽しい

各シーンで両車はそれぞれキャラクターが際立ち、甲乙つけ難い魅力を感じた。これは良い悪いではなく、好き嫌いの領域。そんな2台のフィロソフィが決定的に違うと実感したのが高速道路だ。

画像: 今回2台の試乗を終えたモータージャーナリストの佐藤久実氏は、改めてコンパクトハッチバックのスポーツモデルの魅力を確認できたという。

今回2台の試乗を終えたモータージャーナリストの佐藤久実氏は、改めてコンパクトハッチバックのスポーツモデルの魅力を確認できたという。

ウルティムは、アクセルペダルをちょっと踏み込んだ時でもエンジンサウンドが気持ち良かったり、常にエモーショナルな気分を感じられる。一方20イヤーズは、快適性において一枚上手だ。乗り心地も良いし、静粛性も高い。ACCをセットすればスポーツモデルに乗っているのを忘れてしまうくらい快適に走ってくれる。ホントに守備範囲が広く、いつでも優等生なのだ。が、だからといって20イヤーズに軍配があがるかというと、そう単純な話でもない。ここでは価値観や好みが分かれる。

つまり、スポーツモデルに乗っていても、サーキットを走る機会、すなわちハイパフォーマンスをフルに発揮できるシーンはそうそうない。だからこそウルティム派の目線で言えば、日常シーンでも非日常なエモーショナルな気分を味わわせてくれることによって所有欲を満たしてくれる魅力がある。一方で20イヤーズ派の目線だと、クルマに乗るたびにいつもハイテンションというわけじゃないので、日常は快適で実用的なクルマとして使い、時には非日常感も楽しめるのが魅力となる。

実は私もスポーツモデルを所有するのだが、限界域で走らなくてもエンジンサウンドや小気味良いシフトで十分楽しむことができる。「ああ、このクルマに乗ってて良かった!」と、日常で乗っていてもそう思わせる魅力がある。

それにしても、ウルティムはFFのニュル最速を極め、20イヤーズはニュルでテストされたスペシャルモードを備える。やはり、かの地で徹底的に走り込んで作られたスポーツモデルは、間違いなく秀逸で楽しいということを再認識した。この対決、是非とも開発の地であるドイツ・ニュルブルクリンクで試してみたいものだ。
(文:佐藤久実/写真:永元秀和)

ルノー メガーヌR.S. ウルティム 主要諸元

●全長×全幅×全高:4410×1875×1465mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1470kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1798cc
●最高出力:221kW(300ps)/6000rpm
●最大トルク:420Nm(42.8kgm)/3200rpm
●トランスミッション:6速DCT(EDC)
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・47L
●WLTCモード燃費:11.3km/L
●タイヤサイズ:245/35R19
●車両価格(税込):659万円

フォルクスワーゲン ゴルフR 20イヤーズ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4295×1790×1460mm
●ホイールベース:2620mm
●車両重量:1540kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1984cc
●最高出力:245kW(333ps)/5600-6500rpm
●最大トルク:420Nm(42.8kgm)/2100-5500rpm
●トランスミッション:7速DCT(DSG)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・56L
●WLTCモード燃費:未発表
●タイヤサイズ:235/35R19
●車両価格(税込):792万8000円

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