常に全力で走らせなくてもその凄さは伝わってくる
クルマの性能はその燃費も含めて、時代が進むに連れてかつてとは比較にならないほど驚異的に向上している。日産GT-R プレミアムエディション Tスペック、そしてポルシェ911カレラT。圧倒的な高性能を誇る両モデルが持てる性能を存分に引き出すには、専用のテストコースなどでなければ難しいほどだ。
しかし、だからといって日常で走らせて退屈なわけではない。優れた能力を備えるからこその輝きを、随所で感じられるからだ。
「強力なエンジン」「サーキット走行をもこなす足まわり」「高速でも路面に吸い付く空力ボディ」などなど、思いつくまま例題を挙げれば人々が「スポーツモデル」に期待するポテンシャルは実にさまざまだ。
そんな高い走りの性能を追い求めたモデルの中でもこれらこそは筋金入り、と躊躇なく納得できるのが、ポルシェ911と日産GT-Rというドイツと日本を代表する2車である。
いずれもがボディシェルからエンジン、トランスミッション、そしてサスペンションなどに至るまで、理想と考える性能獲得のために専用に構築された凝ったメカニズムを採用。
走り追求のモデルと言えども効率や合理性の高さが強く求められ、ともすればハードウェアよりもソフトウェアに重きが置かれかねない、というのが昨今の時代の空気感。
そこからすればこの2車は「そのモデルのためだけに開発された固有のメカニズムを採用」と、もはや異例とも思える理想的で贅沢な内容に満ちていることが明らかである。
変わらない方程式と時代ごとに各部を積極的に変えてきた911
デビューから60年という節目を迎えるポルシェ911が、当初から一貫して水平対向6気筒という特徴的なデザインを持つエンジンを「猫背」型ボディ後端の低い位置に搭載という変わらない方程式を採用し続けることを、ここで語る必要はもちろんないだろう。
しかし、そうしたアイコン的部分には手を加えず長い時間を過ごしてきたゆえに、ともすればクラシカルな存在と言われてしまいそうなところを、過去の名声に留まることなく現在でも一級の最新モデルとして世界中で認知されているという現実が、このモデルの凄さと価値を証明する。
前出のようなアイコンは守る一方、そのために常にユーザー目線に立って変えられる部分は積極的に変えてきたからこそ、実は異例なまでの長寿を記録することができていると表現した方が、911の本質を突いているとも言えそうである。