国内最古参のエンジンメーカーが乗用車に進出
三輪/四輪の商用車メーカーとして基盤を築いたダイハツは、昭和38(1963)年5月、コンパーノ(バン/ワゴン)で乗用車市場への参入を果たす。デザインを担当したのはカロッツェリア・ヴィニヤーレで、イタリアンルックでまとめたディテールの美しさは群を抜いていた。
![画像: バン/ワゴンのボディをベースに自社でセダン化したコンパーノ。昭和40年5月には998㏄エンジンを搭載するコンパーノ1000(写真)を追加している。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2023/12/05/389dbdf3134a7eb82c56ae7113a89ba01272354e_xlarge.jpg)
バン/ワゴンのボディをベースに自社でセダン化したコンパーノ。昭和40年5月には998㏄エンジンを搭載するコンパーノ1000(写真)を追加している。
さらに乗用車市場参入の基盤強化を目指すダイハツは、これをベースに自社デザイナーの手でボディ後半部をノッチバックセダンに変更した「コンパーノ ベルリーナ」を開発。昭和38(1963)年の第10回東京モーターショーで初公開した。翌39(1964)年2月の発売が公表され、大きな反響を呼ぶ。
堅実なダイハツらしく、すでにモノコックが主流だった時代に実績のあるラダーフレームを採用した。ベースがバンだったこともあるが、軽量化が重要な要素となる小型車としては珍しい選択と言えた。
前部に直4エンジンを置き、4速MTを介して後輪を駆動するFRという駆動方式も、前:ダブルウイッシュボーン、後:リーフ・リジッドのサスペンションも、当時としてはごく標準的なものだった。
![画像: インテリアは意外にもスポーティだった。インパネも当時としては機能美溢れるもの。国産車初のフルシンクロ4速MTを搭載し、オプションでフロアシフトも選択可能だった。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2023/12/05/99b290a601613a163af8d6d9b182fcf06f05d9b3_xlarge.jpg)
インテリアは意外にもスポーティだった。インパネも当時としては機能美溢れるもの。国産車初のフルシンクロ4速MTを搭載し、オプションでフロアシフトも選択可能だった。
一方、国産初のフルシンクロの4速MTを標準装備したことは注目したい。コラムシフトが基本だが、ミッションハウジングの後部にダイレクトシフト用の穴を設けて、オプションのフロアシフトに容易に変更できるようになっていた。
エンジンは5000rpmで41psを発生する797ccの直4OHV。最高速度は110km/h(カタログ値)と公称したが、加速性能は755kgの車重がネックとなり当時の一般的なレベルに留まった。
ダイハツ・コンパーノ ベルリーナ デラックス(1964・F40型)諸元
●全長×全幅×全高:3800×1445×1410mm
●ホイールベース:2220mm
●車両重量:755kg
●エンジン型式・種類:FC型・直6OHV
●排気量:1988cc
●最高出力:41ps/5000rpm
●最大トルク:6.5kgm/3600rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:5.20-12 2P
●新車価格:57万8000円