2022年7月のワールドプレミアで4種類の「群」をお披露目したり、「専門店」をオープンしたり、第16代めの「クラウンたち」はいろんな意味で話題の存在。バラエティに富んだキャラクター設定を通して、「挑戦と革新」という伝統の間口を一気に広げた観があります。もっとも今回、公道で試乗する機会を得たクラウンセダンは、正統的先祖返りと言えるモデル。「上質なFRセダン」に対する憧れ心を、改めてくすぐってくれました。

ほどよく重厚な「直6感」が感じられる・・・ような気がする

今回の試乗会では、FCEVのZ(830万円)とマルチステージハイブリッドのZ(730万円)を乗り比べることができました。どちらも標準装着のタイヤは235/55R19ですが、後者は「ブラックパッケージ」を装備しているため245/45ZR20を履いていました。

画像: クラウンユーザーに、ゼロエミッションビークルという選択肢を与えるために、セダンにFCEV仕様を設定したという。第二世代のトヨタ燃料電池システムは、ホイールベースの延長にも、柔軟に対応する。

クラウンユーザーに、ゼロエミッションビークルという選択肢を与えるために、セダンにFCEV仕様を設定したという。第二世代のトヨタ燃料電池システムは、ホイールベースの延長にも、柔軟に対応する。

横浜のみなとみらいを中心にした試乗時間は、それぞれ実質30分ほど。短い時間ですが、一般道と首都高速道路で乗り心地とドライバビリティ、そして自慢のエンターテインメントの仕上がりを試してみることにしました。

ここからはあくまでドライバー目線で語ります。

MIRAIと同じく水素を使う燃料電池で発電、電気モーターで駆動するFCEVは、静かでスムーズ。このあたりはEVとして普遍的な魅力を備えています。1回あたり約3分の水素充填で約820kmのロングディスタンスも実現しました。

加えて新型クラウンセダンは、きわめて紳士的なパワーフィールが印象的。わざとラフにアクセルペダルを踏み込んでも、トルクの出方はあくまで滑らかかつフラットなものです。それはけっして、もどかしさを覚えるようなおとなしいフィーリングではありません。

画像: FCEVのインテリア。新型クラウンセダンは。センター通信型コネクテッドナビに対応。同時に車載のナビ機能とも連動させている高精細のHDディスプレイオーディオが標準装備となる。

FCEVのインテリア。新型クラウンセダンは。センター通信型コネクテッドナビに対応。同時に車載のナビ機能とも連動させている高精細のHDディスプレイオーディオが標準装備となる。

最高出力は182ps、最大トルクは300Nmと実はしっかり力に余裕があるのに、無駄なく効率的に、ほどよい力強さを生み出している感じです。実際、スピードの乗りも非常にリニアでコントロールしやすいものでした。

それはさながら、長きに渡ってクラウン系列に展開されていた直列6気筒エンジンを彷彿とさせるフィーリング。それも、ターボが装着される前の大排気量NA版。その「ゆとり」を現代風に洗練させたら、もしかするとこんな感じ?

そういえば・・・パワーフィールだけでなく、ハンドリングにもまた、ほどよく重厚な「直6感」が感じられるような気が。速度域高めのカーブでは、わずかにフロントの重さを感じさせながらも、基本的にはニュートラルなコーナリング姿勢を保ちます。

ちょっとだけ積極的にアクセルやハンドルの操作を加えると、挙動変化がやはりとてもスムーズかつ自然で気持ちいい!特性的にはサーキットをがんがん攻めるような走りには向いていないかもしれませんが、緊張感を感じさせることなく意のままに操ることができる「なんとも贅沢な味わい」なのでした。

画像: すべてのシートに、3段階温度調整が可能なシートヒーターと、短時間で涼しさを生み出すシートベンチレーションを装備する。

すべてのシートに、3段階温度調整が可能なシートヒーターと、短時間で涼しさを生み出すシートベンチレーションを装備する。

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