2022年7月のワールドプレミアで4種類の「群」をお披露目したり、「専門店」をオープンしたり、第16代めの「クラウンたち」はいろんな意味で話題の存在。バラエティに富んだキャラクター設定を通して、「挑戦と革新」という伝統の間口を一気に広げた観があります。もっとも今回、公道で試乗する機会を得たクラウンセダンは、正統的先祖返りと言えるモデル。「上質なFRセダン」に対する憧れ心を、改めてくすぐってくれました。

ダイレクト感が高められたマルチステージハイブリッド

一方、おそらくは販売の主力となる2.5Lマルチステージハイブリッドシステムを搭載したモデルは、やはりまた異なる味わいです。エンジンの出力特性改良やCVTではなく4段変速機構を備えることで、発進時から内燃機関らしい脈動感を感じることができました。

画像: マルチステージハイブリッドでは、エンジン回転数を車速に合わせて最適に変化させる10段変速制御を採用、ドライバーの意思にリニアに反応することで心地よい加速感を生み出している。

マルチステージハイブリッドでは、エンジン回転数を車速に合わせて最適に変化させる10段変速制御を採用、ドライバーの意思にリニアに反応することで心地よい加速感を生み出している。

さすがに「直6」なシルキータッチでこそないものの、4発らしいパンチ感と伝達効率が高められた電気モーターによるアシストが、ほどよくスムーズかつスポーティなパフォーマンスを発揮しています。フィーリング的にHEVは、よりドライバーズセダン寄りのキャラクターが与えられているようです。

エンジンスペックは185ps/225Nm、電気モーターは182ps/300Nmを発揮しています。とはいえフィーリングはFCEVと同様に紳士的で、安心感に満ちています。本質的に新型クラウンセダンは、四輪駆動の特性を最大限生かしているクラウンクロスオーバーほどには、アグレッシブな走りを狙っていないのかもしれません。

ドライブモードを「スポーツ」に変えればまた印象が変わってくるのかと思いますが、こうしたしっとりとした乗り味は、セダンらしい上質感を感じさせてくれる重要なポイントと言えるでしょう。

もうひとつ、タンク容量が82Lもあるのは、もともと水素タンクを3本も積めるプラットフォームを使っているおかげかも。WLTCモード燃費は18.0km/Lなので、単純計算では航続距離が1400kmを越えちゃってますね。もちろんレギュラーなので、お財布にも優しいし。

画像: マルチステージハイブリッドシステムは、従来のトヨタハイブリッドシステムの出力軸側に、4段の変速機構を備えている。出力軸への伝達をローデフ化することで駆動力を向上、低速域からの力強さを生み出すことに成功した。エンジンも、高速燃焼技術・可変制御システムによって、高い熱効率を実現している。

マルチステージハイブリッドシステムは、従来のトヨタハイブリッドシステムの出力軸側に、4段の変速機構を備えている。出力軸への伝達をローデフ化することで駆動力を向上、低速域からの力強さを生み出すことに成功した。エンジンも、高速燃焼技術・可変制御システムによって、高い熱効率を実現している。

あくまでさりげないPDAのサポート。違和感はほぼなし

実はこうしたキャラクター設定を完成させているのが、さまざまなシーンで安全なドライビングをアシストしてくれる、ADASの数々です。

画像: 「路面の凹凸を乗客に伝えない」ために、AVSによる減衰力制御に加え低フリクションシールを採用、サスセッティングの適正化を徹底して「いなす」乗り味を実現している。

「路面の凹凸を乗客に伝えない」ために、AVSによる減衰力制御に加え低フリクションシールを採用、サスセッティングの適正化を徹底して「いなす」乗り味を実現している。

とくに注目して欲しいのが、クラウンセダン全モデルに標準採用されている「プロアクティブドライビングアシスト:PDA」。これは、一般道や高速道路で運転状況と走行状況に応じたステアリング、ブレーキ操作を支援するシステムですが、デフォルト状態から機能しているところがACCとは異なっています。

中でも今回の試乗で恩恵をはっきり体感できたのは、前走車との距離に合わせて減速力を調整してくれる機能でした。けっして唐突にブレーキがかかるようなものでは、もちろんありません。あくまでアシスト。ドライバーがアクセルOFFにした段階から、ちょうど良い感覚でほどよい間隔を保つように、確実に減速を支援してくれます。

先述したジェントルなハンドリングも、PDAによる車線内走行時常時操舵支援が、縁の下の力持ち的な役割を果たしてくれているようです。一般道の交差点でも減速などのアシストは入っているようですが、こちらはまったく体感することができませんでした。けっして出しゃばることのない品の良いサポートぶりには、はっきり言って脱帽です。

This article is a sponsored article by
''.