1.5L NAでハイブリッドなし。でも「普通」じゃない
試乗会からさかのぼること約1カ月前の11月16日、ホンダはホームページ上でWR-Vを先行公開しました。そして先日、WR-Vの実車を確認する機会があったのですが、その堂々としたデザインや居心地の良いインテリア、コンパクトSUVのクラスを超えた広大な室内空間に驚かされました。そうなるとやはり気になるのは、その走りです。今回、栃木にあるホンダのテストコースでWR-Vを試乗することができました。
WR-Vの搭載するエンジンは1.5L直4ガソリンエンジンで、トランスミッションはCVT(無段変速機)を採用しています。
近頃は当たり前になりつつあるハイブリッドではなく、あくまでシンプルなガソリン車。またWLTCモード燃費は16.4km/Lと驚くような数値ではありません。なんとなく乗る前に走りの想像をしてみましたが、驚くことはなさそうだなと正直思っていました。
ですが、エンジンを始動し走り出してほんの数m進んだときに、その走り出しのスムーズさに驚きました。試乗するテストコースに入る手前の、速度にして10km/hほどで走っていた時のことです。低速時のいわゆるギクシャク感がまったくなく、ハイブリッド車のモーター走行のようなスルスルとした動きを見せたのです。この瞬間、一気に走りへの期待値が高まりました。
全域で変わらず保たれる上質なスムーズ感
さて、いよいよコースインです。まずは高速道路の合流を意識して80km/hまで加速させます。
すると、エンジンは一瞬の溜めがあるものの、みるみる速度を上げていきました。その力強さは必要にして十分といえるもので、非力だと感じることはありませんでした。さすがにハイブリッド車のモーターによる加速のようにグイッと前に押し出されるような歯切れの良い加速感ではありませんが、走り出しからの「スムーズさ」に通じるものがあります。
というのも、開発責任者の金子氏によると、WR-Vの開発において「スムーズな操作性」をとくにこだわったと言います。実際に走らせてみるとなるほど、そのこだわりに納得です。
時速は80〜100km/hの間を保ちながら高速周回路を進みます。その時にリアシートに座っていた同乗者と会話をしたのですが、走行速度のわりには彼が話す言葉が聞き取りやすいなと感じました。つまり、走行中の車内の静粛性が非常に高いのです。
これはこのあとテストドライブしたどのコースにおいても感じたことです。価格も車格も一部の上級SUVより、さらに静かかも・・・とさえ、思えたほど。
この静粛性の高さは、エンジンノイズを低減するための防振処理や、ロードノイズを低減するためにフロント、リアのいずれにも遮音対策が施されていることが功を奏したものと思われます。さらに、遮音性を高めるためにスプレー式のウレタンフォームをサイドシル付近に施工しているとのことで、WR-Vの遮音に対する並々ならぬ努力を感じました。