この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第29回目は、ルノー4CVの流れをくむ4ドア5座RRセダン、日野コンテッサの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

スペシャリティカーの始祖として輝く、華やかなクーペ

画像: RRということもありリアのオーバーハングがフロントよりも30㎝以上長い、前と後が逆転したようなプロポーションが独特のコンテッサ1300クーペ。高性能であるとともにリアビューの美しさが際立つ。ルーバーも印象的。

RRということもありリアのオーバーハングがフロントよりも30㎝以上長い、前と後が逆転したようなプロポーションが独特のコンテッサ1300クーペ。高性能であるとともにリアビューの美しさが際立つ。ルーバーも印象的。

そして同じ年の12月、ジョバンニ・ミケロッティのオリジナル・デザインによる1300クーペが発表された(セダンもミケロッティ・デザイン)。

このクーペのエンジンは同一排気量ながら圧縮比を8.5から9.0に高め、SUキャブを 2連装して、最高出力65ps/5500rpm、最大トルク10.0kgm/3800rpmを発生した。車重が945kgであるから、馬力当たり荷重は14.5kg/ps(SAE)と当時としては良好なものになる。

1300クーペはミケロッティの傑作のひとつに数えられる。当然のように内外から高い評価を受け、昭和40(1965)年7月イタリアで行われた第5回国際エレガンス・コンクールをかわきりに、昭和41年9月の1966年度国際自動車エレガンス・コンクール(ベルギー)、 昭和42年6月の第4回サンミッシェル自動車エレガンス・コンクール(ベルギー)においてセダン/クーペはともに3年連続して権威の高い名誉大賞を受けている。

画像: ナルディタイプのウッドステアリング、 木目のメーターパネルなど、高級ムード溢れるコクピット。ラック&ピニオンのシャープなステアリング特性で熱烈なファンも多かった。

ナルディタイプのウッドステアリング、 木目のメーターパネルなど、高級ムード溢れるコクピット。ラック&ピニオンのシャープなステアリング特性で熱烈なファンも多かった。

スタイルの美しさだけでなく、レースでの活躍もめざましく、昭和41年(1966年)11月の第9回リバーサイド・タイムスGPレース (USA)でクーペが総合優勝し、翌42年のルソン島一周耐久レースでも1、2位を独占した。

国内のレースにおいてもその活躍は目覚しかった。リアエンジンの特徴である、オーバーステア気味の操縦特性はかなり顕著だったし、高速での直進安定性にはやや問題はあったものの、ラック&ピニオン式のステアリング・システムはシャープなステアリング・レスポンスを示す。またサスペンションにしてもロールを十分に抑えた設定となっており、そのハンドリングにはきわめてスポーティかつユニークなものがあった。

価格は85万8000円と、フェアレディ1500(88万円)よりわずかに低く設定されていたが、ウッドパネルのインストルメント・パネルなど内装にも行き届いた配慮がなされ、スポーツ・タイプである以上に日本で初めてのスペシャリティカー的な性格を備えたモデルとして、特異な存在となっていた。またDOHCエンジン搭載の計画もあったがそれは実現せず、昭和42(1967)年8月に生産終了となった。

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