大径タイヤ、ゆとりのブレーキ性能で上質な走り味を実現
低床レイアウトを活かした効率的なバッテリー配置や、専用デザインのインテリアによって、荷室容量はガソリン車と同等を実現。ともすれば弱点となる「重さ」を、低重心化などしっかり「味方」につけているところもポイントです。
実際に走らせてみると、重量増に合わせた大径(13インチ)タイヤのメリットの大きさが理解できます。しかも標準装着される横浜ゴム「BluEarth-Van RY55」は、EVの車両特性に合わせ低燃費性能かつ耐摩耗性能に優れたトレッドゴムを採用、操縦安定性を確保するために最適なタイヤプロファイルが与えられているといいます。
確かに直進時はもとよりコーナリングでの安定感は抜群なのに、乗り心地が非常にしなやかなフィーリングに驚かされました。電動サーボのサポートを受けたブレーキ(サイズもアップ)のコントロール性が高く、しっかりしたフィーリングがやはり類まれな安心感につながっています。
前輪を駆動する電気モーターは、最高出力こそN-VANのガソリンターボモデルと同じ64psながら、最大トルクは6割増しの162Nmを発生。スタート時にいきなりトルクが盛り上がるのではなく、まるで「回転に合わせている」かのように滑らかに力強さが盛り上がっていくセッティングです。
もちろんEVですから、静粛性の高さはいわずもがな。小排気量エンジンを一生懸命回して走る、ガソリンモデルとは一線を画しています。急坂での発進でも、唐突に勇ましいエンジン音にうんざりさせられることはありません。
少なくとも日常的シーンをイメージしながらのテストドライブでは、そんなBEVであることのメリットばかりが実感された次第。軽バンのイメージから想起されるさまざまなストレスから、見事に開放してもらいました。N-VAN e:はある意味、「内燃機関の限界を越えてしまった」と言えるかもしれません。