動力系統に変化はない。それでも高まるプレミアム性
2024年11月の国際試乗会でそのプレミアム性を体感した記憶もまだ新しいが、早くも日本仕様が導入されて、2025年3月にまずはPHEVのウルトラT8 AWDを都内で運転することができた。
交通環境が北欧と違うとはいえ、新たな発見はないかもしれないと、当時の記憶を思い出しながら対面すると、そもそもエクステリアの印象が異なることに驚く。
新型XC90は2つのデザインテーマ「ダーク」と「ブライト」を用意されて、日本仕様のT8 AWDは前者が標準仕様となる。「着物の右前の襟合わせ」を想起させる、2方向からの斜線を重ねたフロントグリルは、アイアンマークとこれを貫く1本のクロームメッキを残し、フレームも含めてブラックアウト化されている。

プラグインハイブリッドのXC90 T8は「ダーク」をデザインテーマとし、フロントグリルやアンダーグリルなどはブラックのパーツを配置されている。
こうした変化はサイドからリアを見ても同様で、ドアミラーカバーやウインドーモールなどもカラーを変更されている。もし現在のラインナップで、クロームメッキによる加飾をテーマとした「ブライト」を選択したければ、MHEVのB5 AWDを選ぶことになる。
コクピットに着いて真っ先に目にとまるのはやはり、11.2インチの大きなセンターディスプレイだろう。従来はインパネにビルトインされた9インチだったが、画面を手前に浮かせるよう配置したフローティングタイプで、見やすさだけでなく操作性も向上した。
従来から物理ボタンを少なくしたシンプルなインテリアデザインを取り入れてきたボルボだが、その効果は上質感の向上やスマホのような操作感を得られるといった、メリットだけではなかったようだ。設定変更のために複数回の操作を必要として、簡便さが損なわれることもあったという。

センターコンソールやインストゥルメントパネルなど、従来モデルよりも直線基調を多く採り入れたデザインとなっている。
そこで、運転中に多用する機能は集約して上の階層に表示するように改良された。例えばドライブモードセレクターで、EVモードの「ピュア」やスポーツモードの「パワー」など5つのパターンを瞬時に呼び出せるようになった。大画面化だけではない、センターディスプレイの進化は日常使いだけでも十分に体感できるはずだ。
インテリアのテーマはウッドパネルと布地を組み合わせたもので、日が暮れたりトンネルに入るとパネルのわずかな隙間から間接照明光が漏れ出てくるイルミネーションも追加されている。4つある内装色の中でも、試乗車のようにブラウンアッシュウッドとカルダモンプレミアムテキスタイルを組み合わせたインテリアは暖かで、落ち着き感を強めてくれる。