EVモードで走行しても「ウルスらしさ」は健在

2024年5月23日に日本で初披露されたランボルギーニ ウルスSE。フロントバンパーやグリル、ボンネットの形状が変更され、マトリックスLEDヘッドライトも採用。より洗練されたフロントマスクになった。
Motor Magazine 2024年12月号でウルスSEの海外試乗記をお届けした。イタリア・プーリア州の市街地を走り、ナルド・テクニカルセンターでは「グラベル」や「ドリフト」といった、特別なクローズドコースでの試乗も経験した。その際にも感じたことだが、このウルスSEは「スーパースポーツカーと並ぶ運動性能を持ち、そしてなにより運転が楽しいスーパーSUV」だと断言できる。
あれから1年近くが経ち、ラインナップにはHPEV(ハイパフォーマンスEV)第3弾、テメラリオも加わった。ランボルギーニはレヴエルトを皮切りに着実に電動化を進め、現在ラインナップするすべてのモデルがHPEV化されている。もっとも、そうした電動化を顧客がどこまで求めているのかはわからない。なぜなら多くの購入者が「ランボルギーニというブランド」を選んでいるからだ。
しかし、ここでいう電動化はBEVではない。あくまで主役はエンジンであり、モーターはそれを支える存在。実際、レヴエルトの試乗でも、純粋な内燃モデルに劣らぬ圧倒的なパフォーマンスを味わえたことを憶えている。

620ps/800Nmを発生する4L V8ツインターボエンジンに192ps/483Nmの電気モーターを組み合わせ、システム全体で800ps/950Nmというとてつもないスペックを実現。最高速度135km/hまでEV走行が可能だという。
そしてウルスSEもまた、そうした「主役はあくまでエンジン」という哲学の上に成り立っている。ステファン・ヴィンケルマンCEOがたびたび語る「ランボルギーニは人々に夢を見せる存在でなければならない」という言葉どおり、デザインもパフォーマンスも人の心を震わせるものがある。
ハンドルを握ってアクセルペダルを踏み込めば、思わず笑顔がこぼれてしまう……そんな体験をもたらしてくれるクルマだ。
ただ、もし私がこのウルスSEを手にすることができたならば、日常の中では静かに家を出て、静かに帰ってきたいとも思う。そんな庶民的な感覚を持った人にだって、このモデルはぴったりだ。なぜなら日常使いをカバーする60km以上のEV走行が可能だからだ。