好フィールのエンジンと新開発のミッション

高速でも1.6Lターボとは思えない、メルセデスらしい安定感ある走りを見せ、乗り味はきわめて快適だ。
7G-DCTと呼ばれる新開発のDCTはコンパクトで、この種のトランスミッションとしては86kgと軽量だ。ステアリングホイールの左右にはパドルシフトも採用されているので、MTのようにマニュアルセレクトしてのスポーツ走行も可能だ。駆動ロスが小さく燃費にもかなり貢献しているようだ。しかもDCTにありがちなギクシャク感がほとんどない。
エンジンは1.6L 直4の直噴ターボ。低回転域からとても粘り強いのが第一印象だ。最大トルクの200Nmを1250rpmで既に発生している。最高出力そのものは122psなので驚くほどではないが、ストップ&ゴーなどの出足はかなり気持ち良い。
試乗コースのワインディング路では、コーナリングでひとつ高いギアをチョイスしてもしっかりと力感があり、多人数乗車でも物足りないことはないだろう。アイドリングストップ機能もメルセデスらしい品のある作動フィールだ。

車名は180だが122psと200Nmを発生する1.6Lの直4ターボに7速DCTを組み合わせる。アイドリングストップ機能も備えている。
ここ最近メルセデスのサスペンションはしっかりと締まりの効いたスポーツ志向だが、Aクラスも多分にもれない。今のところ素のA180とA180スポーツの2グレード設定だが、春にはA250シュポルトも登場する。素の180とスポーツの違いはタイヤサイズとサスペンション。さらに内外装の装備の差で、エンジンスペックは同じだ。
スポーツ仕様の乗り味は、路面の凹凸を乗り越える際の振動の収まりが早い。また、ハンドリングはとてもスポーティで、AMGのエンジニアによって開発されたというフロントサスペンションが深い操舵角にもしっかりと反応して、FFらしからぬコーナリングが楽しめる。
レーダー型衝突警告システムも標準装備して安全面もぬかりない。「Aクラスという名前以外はすべて変わった」という言葉に偽りはない。しかも284万円から手に入る。スポーツハッチに大変身した新型Aクラス。ちょっと気になる1台だ。

AMGスタイリングパッケージや18インチホイール、そしてスポーツサスも装着したA180スポーツ。ただしエンジンはA180と共通。
メルセデス・ベンツ A180<A180スポーツ> 主要諸元
●全長×全幅×全高:4290×1780×1435mm<4355×1780×1420>
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1430kg<1440>
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1595cc
●最高出力:90kW(122ps)/5000rpm
●最大トルク:200Nm(20.4kgm)/1250-4000rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●JC08モード燃費:15.9km/L
●タイヤサイズ:225/45R17<225/40R18>
●当時の車両価格(税込):284万円<335万円>
