日本カー・オブ・ザ・イヤーや自動車安全性能のファイブスター大賞を受賞し、注目を集めるスバル フォレスター。2026年5月の改良では、1.8Lターボ車に「ツーリング」と「ツーリングEX」が加わった。今回はエントリーモデルの「ツーリング」で約1週間、500kmを試乗。装備と価格のバランス、頼もしい走り、そしてアナログとデジタルが調和する使い勝手から、その気負わない魅力を探る。

文: 中村圭吾/写真: 永元秀和
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385万円からでも装備充実のツーリング

画像: カラードのドアミラーと、ダークメタリック塗装+切削光輝の18インチアルミホイールが、スポーツEXとの違い。試乗車のクリムゾンレッド・パールは、税込み3万3000円高の有料色となる。

カラードのドアミラーと、ダークメタリック塗装+切削光輝の18インチアルミホイールが、スポーツEXとの違い。試乗車のクリムゾンレッド・パールは、税込み3万3000円高の有料色となる。

今回試乗したのは、C型から追加されたフォレスターのエントリーモデルともいえるツーリングだ。約1週間、500kmをともにして感じたのは、装備を整理して価格を抑えても、フォレスターらしい走りの魅力はしっかり味わえるということだった。

搭載するのは1.8L水平対向4気筒直噴ターボエンジン(CB18型)。リニアトロニックと組み合わせ、4輪を駆動する。225/55R18のオールシーズンタイヤや超飽和バルブ付ダンパーなど、走りを支える主要な仕様は、これまでのスポーツ系と共通だ。

一方、装備には明確な違いがある。メーターはフル液晶ではなく、中央に4.2インチの情報表示画面を組み合わせたアナログタイプ(シリーズ唯一)。試乗車にはパワーリヤゲートも備わらない。ただし、前席は運転席10ウェイ、助手席8ウェイのパワーシートで、運転席にはシートポジションメモリー機能も付く。ステアリングヒーターと前席・後席左右のシートヒーターまで標準装備されており、エントリーモデルと聞いて想像するほど簡素な仕様ではない。

ハーマンカードンサウンドシステムや大型サンルーフは、ツーリング系では選ぶことができな。ターボモデルでこれらを望むなら、スポーツEXが候補になる。欲しい装備を見極めて選ぶ必要はあるものの、日常の使い勝手を支える装備は十分に揃っている。

画像: グレー/プラチナにブルーステッチを組み合わせ、明るく開放的に仕立てた室内。気負わず使える親しみやすい雰囲気も、ツーリングの魅力だ。ファブリック/トリコットのシートは、飾りすぎない質感が好印象。

グレー/プラチナにブルーステッチを組み合わせ、明るく開放的に仕立てた室内。気負わず使える親しみやすい雰囲気も、ツーリングの魅力だ。ファブリック/トリコットのシートは、飾りすぎない質感が好印象。

運転支援についても同様だ。ツーリングにはアイサイトXこそ備わらないが、プリクラッシュブレーキや全車速追従機能付クルーズコントロール、操舵を支援するツーリングアシストなどは標準装備される。先進的な運転支援装備のないクルマから乗り換えるなら、これだけでも長距離移動の負担軽減を実感できるだろう。

そのうえで、対応する高速道路・自動車専用道路において、作動条件下で利用できる渋滞時ハンズオフアシストやアクティブレーンチェンジアシストを求めるなら、ツーリングEXを選びたい。車両価格はツーリングの385万円に対し、同EXが399万3000円。いずれも消費税込みで、差額は14万3000円となる。同EXではメーターも12.3インチのフル液晶式になるので、その違いも含めて判断するといい。

内装はブラックとグレー基調の2種類から選べる。個人的には試乗車のグレー/プラチナを選びたい。ブラックの引き締まった雰囲気もいいが、明るい色調にブルーステッチを組み合わせた室内は、乗り込むたびに気分が和らぐ。サンルーフがなくても開放的に感じられ、フォレスターの見晴らしの良さとも相性がいい。

ファブリック/トリコットのシートも、質感に不足を感じなかった。豪華さを前面に出す仕立てではないが、普段の暮らしの中で気負わず付き合える。こうした親しみやすさも、ツーリングの持ち味だと思う。

頼もしい1.8Lターボと落ち着いた足まわり。雨でも実感するAWDの安心感

画像: スバル車でお馴染みのCB18型1.8L水平対向4気筒直噴ターボエンジン。ストロングハイブリッドも登場し、電動化が進む今、モーターアシストを介さないボクサーターボの力強さを味わえる存在だ。

スバル車でお馴染みのCB18型1.8L水平対向4気筒直噴ターボエンジン。ストロングハイブリッドも登場し、電動化が進む今、モーターアシストを介さないボクサーターボの力強さを味わえる存在だ。

走らせると、1.8Lターボの頼もしさが改めて印象に残った。最大トルク300Nmを1600~3600rpmで発生するため、日常的に使う低・中回転域に力がある。むやみに回転を上げなくても速度を乗せやすく、高速道路でも余裕を感じられる。

電動化が進むいまとなっては、モーターのアシストを介さず、エンジンの力で走るボクサーターボを選べること自体に魅力を感じる人もいるだろう。ターボという言葉から想像する刺激の強さよりも、普段使いでの扱いやすさと、必要なときに応えてくれる力強さが、このエンジンの良さだ。

足まわりの印象も良好だった。以前のスポーツで好印象だった、細かな上下動を引きずらない落ち着きが、このツーリングにもある。ストロングハイブリッド車より軽い車両重量に加え、ターボ車に採用される超飽和バルブ付ダンパーも、その乗り味を支えているのだろう。路面からの入力を受け止めながら、車体の動きは穏やかに収める。その感触が、長く走るほどありがたく感じられた。

そして、フォレスター全車に共通するシンメトリカルAWD。今回も雨天の高速道路やワインディング路で、落ち着いた走りと安心感を味わえた。4輪へ駆動力を伝える仕組みを土台に、足まわりや車体の動きがうまくまとまっている。ツーリングでも、その良さに変わりはない。

画像: ホイールのカラーリングは異なるが、225/55R18のオールシーズンタイヤや超飽和バルブ付きダンパーなどスポーツEXと足まわりは同様の仕様になる。

ホイールのカラーリングは異なるが、225/55R18のオールシーズンタイヤや超飽和バルブ付きダンパーなどスポーツEXと足まわりは同様の仕様になる。

アナログの親しみやすさにデジタルの便利さ「これがいい」と思える理由

画像: 現行フォレスターの国内仕様で、ツーリングだけが採用するアナログメーター。針で読み取る表示に親しみを感じる人もいるだろう。中央には4.2インチのマルチインフォメーションディスプレイを備える。

現行フォレスターの国内仕様で、ツーリングだけが採用するアナログメーター。針で読み取る表示に親しみを感じる人もいるだろう。中央には4.2インチのマルチインフォメーションディスプレイを備える。

そんな走りを味わいながら、ふと目に入るアナログメーターがいい。現行の国内仕様では、これを採用するのはツーリング(ツーリングEXはフル液晶)だけだ。針の位置で速度や回転数をつかめる、慣れ親しんだ表示には独特の落ち着きがある。四駆やSUVには、こうした適度なアナログ感が似合うと感じるのは、私だけだろうか。

もっとも、室内の使い勝手まで昔ながらというわけではない。センターには11.6インチの縦型ディスプレイを備え、Apple CarPlayやAndroidAuto経由でGoogle マップを使う際も見やすい。スマートフォンを日常的に使っている人なら、自然に馴染めるだろう。

音量や選局のダイヤル、エアコンの温度調整、前後の曇り取りなどには物理操作部が残されている。指先で位置を確かめやすく、画面操作と使い分けられるのがいい。よく使う機能をホーム画面に配置できることも含め、日常での扱いやすさに配慮されている。

ボクサーターボとシンメトリカル AWDがもたらす走りに、アナログメーターの親しみやすさ。そして、日々の移動を支えるデジタル機能と運転支援。その組み合わせに、ツーリングならではの魅力がある。

約1週間、500kmを走ってみて残ったのは、「これで十分」という納得感に加え、「これがいい」と思える確かな手応えだった。フォレスターの走りを大切にしながら、装備と価格のバランスを自分の暮らしに合わせて選ぶ。ツーリングは、そんな人にこそ目を向けてほしい1台である。

スバル フォレスター ツーリング 主要諸元

●全長×全幅×全高:4655×1830×1730mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1630kg
●エンジン種類:対4DOHCターボ
●総排気量:1795cc
●最高出力:130kW(177ps)/5200-5600rpm
●最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1600-3600rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・63L
●WLTCモード燃費:13.6km/L
●タイヤサイズ:225/55R18
●車両価格(税込み):385万円

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