1961~70年は、日本の近代スポーツカーが飛躍的に進化した10年だった。この時代に矢継ぎ早に投入された新型スポーツカーは、まさに日本の自動車技術の進化の歴史と言っていい。そんな飛躍の10年を彩った珠玉のマシンを振り返ってみる。4回目は、マツダ・コスモスポーツだ。
誰もできなかったロータリーエンジンの実用化を実現
「マツダ・コスモスポーツ(L10B型 1967年5月発表)」。世界で最初にロータリーエンジン(以下、RE)を搭載した量産車は、1964年に発表されたNSU(アウディのルーツにあたる社のひとつ)のヴァンケルスパイダーだった。
だが、1967年5月に発表されたマツダのコスモスポーツは量産・市販可能な世界初の2ローターRE搭載車として名を遺している。
後に「ロータリー四十七士」と呼ばれた開発陣はチャターマークやシールなどといったRE独特の問題を解決し、RE本来の長所である小型・軽量・低振動のユニットを完成させたのだった。
10A型REは、全高わずか1165mmという宇宙船を思わせる斬新なスタイルのボディに搭載された。イタリア語で宇宙を意味するコスモという車名は、このスタイルから命名されたとも言われている。
このスタイルは、REの小ささを訴求するためにも十分であった。
1968年7月にマイナーチェンジされ後期型(L10B型)となり、エアインテークの拡大やミッションの5速化などの変更を受けた。エンジンも128ps/14.2kgmにパワーアップされ、走行性能も向上した。
マツダ・コスモスポーツ 主要諸元(1967年)
●全長×全幅×全高:4140×1595×1165mm
●ホイールベース:2200mm
●車両重量:940kg
●エンジン・型式:直2ローター・10A
●排気量:491cc×2
●最高出力/最大トルク:110ps/13.3kgm
●サスペンション前/後:ダブルウイッシュボーン/ドディオン
●発売時価格:148万円