お盆休みのPAやSA。ミニバンや軽自動車に混じって目立ったのが大小さまざまなSUV。一方、広大なPAで数えられるほどしか見かけなかったのが4ドアセダンだ。絶滅寸前などと揶揄されることもあるセダンだが、それにしてもこの凋落ぶりに改めて驚く。果たして本当にセダンはなくなってしまうのか。関係各所に当たってわかった衝撃の近未来…。(タイトル写真は8月13日に北米で公開されたアキュラ タイプSコンセプト)

セダン不況は世界的な現象だが…

セダン市場の縮小が止まらない。これは国内市場だけでなく世界的な傾向だ。しかも、国内メーカーだけでなく、欧米メーカーでも事情は変わらない。いきおい、各社が力を入れているのは稼ぎの良いSUV/クロスオーバーとなるのも道理。それが一層、セダン不振に拍車をかける。

とは言え、北米や中国そして東南アジアの一部では、いまもセダン市場は健在。かつてのボリュームはないにしろ、ビジネスとしてなんとか成立するマーケットは存在している。ゆえに、各社ともいきなりセダン市場から手を引くことはないようだ(もっとも、フォードは北米のセダン市場から撤退してしまったが…)。

むしろ深刻なのは国内。前述のとおり、セダンのメイン市場は北米と中国だから、新規開発されるクルマは現地の事情やニーズに沿ったものとなり、それは必ずしも日本市場にはマッチしない。さらに、SUVやCASEに代表される先端技術に開発原資を投入しているので、年次改良などがおざなりにされ、往々にして旧態依然としたセダンの販売が続くことになる。

とまあ、国内セダン市場に関して状況が芳しくないのは、やはり巷間言われているとおり。しかし、一方では、9月に発売される新型カローラセダン、来年早々にようやく国内発売が始まる新型アコードなどのニューモデルの投入もある。マツダも新型マツダ3でセダンをラインアップしているし、かつてのようなポジションを取り戻すことは難しいと思うが、セダンはこれからもしぶとく生き残っていくことは間違いない。

とは言え気になるのが現行モデルの今後。今回は大手3社の動向を調べてみた。

トヨタ/レクサス〜無くなるセダンは4車種?

来年5月の販社統合でモデル統廃合が一気に進むトヨタのクルマたち。統廃合されるのは、いわゆる姉妹車が中心だが、セダンもやはり整理されそうだ。

「プレミオ/アリオン」
9月17日に発表/発売される新型カローラセダンに事実上統合。販売は遅くとも年内には終了するだろう。

「マークX」
公式にインフォメーションされているとおり、12月末をもって販売終了。現在、特別仕様車の250Sと205S FOURの“Final Edition”を発売中。

「レクサスGS」
すでに欧州では販売中止(ハイブリッドも含めユーロ6適合が難しいらしい)。国内市場でもESと競合しており、事実上、次世代ISと統合される可能性が高い。

画像: 写真はプレミオ。販売チャンネルの統合、新型カローラセダンの発売などモデル廃止の条件は整った。

写真はプレミオ。販売チャンネルの統合、新型カローラセダンの発売などモデル廃止の条件は整った。

画像: FRスポーティセダンとして親しまれたマークXも年内いっぱいで販売終了。現在、特別仕様車“Final Edition”を発売している。

FRスポーティセダンとして親しまれたマークXも年内いっぱいで販売終了。現在、特別仕様車“Final Edition”を発売している。

画像: すでに欧州ラインアップからはドロップしている「GS」。その役割はESと次期ISでカバーする。

すでに欧州ラインアップからはドロップしている「GS」。その役割はESと次期ISでカバーする。

日産〜業績回復に向けて大ナタ。新フラッグシップはスカイラインに?

今年6月の株主総会で、2022年度までにグローバルで20車種以上の新型車投入を表明する一方、現行ラインアップから不採算車種およそ1割削減することも明らかにしている。

「シルフィ」
4月の上海モーターショーで新型シルフィを発表。スポーティなデザインのボディに新開発の1.6Lエンジンを搭載する意欲作だが、日本での発売予定はないとのこと。国内はしばらく現行型が継続販売されるものの来年前半にはモデル廃止となりそうだ。

「ティアナ」
2018年にフルモデルチェンジして、中国仕様ティアナも北米同様「アルティマ」を名乗るようになった。日本仕様の動向が気になっていたが、そもそも右ハンドル車の開発は確認できず、新型の国内導入はないと考えるのが妥当だろう。しばらくは現行モデルが継続販売されるが、1〜2年内に販売終了となる可能性が高い。

「フーガ(シーマ)」
現行型は北米/中国でインフィニティQ70として発売されているが、2021年にはフルモデルチェンジして電動化(EVとe-POWER)されると同時に、インフィニティのラインアップ見直しで現行Q50(日本名スカイライン)と事実上の統合を実施。Qシリーズは標準ボディ(Q50)とロングホイールベースボディ(Q70)の2タイプになり、北米と中国での展開に。この2社がなくなることで、日本市場は先ごろラージマイナーチェンジしたスカイラインが事実上のフラッグシップ・セダンとなりそう。

画像: 中国で発表された新型シルフィ。北米ではこのクルマをベースにした「セントラ」も発売されるが、残念ながら国内予定はなく、シルフィはモデル廃止となる可能性が高い。

中国で発表された新型シルフィ。北米ではこのクルマをベースにした「セントラ」も発売されるが、残念ながら国内予定はなく、シルフィはモデル廃止となる可能性が高い。

画像: 中国/北米ともに「アルティマ」を名乗ることになり、ティアナは国内に先代モデルが残るのみ。存続は厳しそうだ。

中国/北米ともに「アルティマ」を名乗ることになり、ティアナは国内に先代モデルが残るのみ。存続は厳しそうだ。

画像: インフィニティは2021年から本格的に電動化するとともにラインアップを大きく見直し、セダンは基本的にワンボディでホイールベースで差別化。標準車が現行Q50(≒スカイライン)、ロングホイールベース車が現行Q70(≒フーガ≒シーマ)に相当するが国内発売はない模様だ。

インフィニティは2021年から本格的に電動化するとともにラインアップを大きく見直し、セダンは基本的にワンボディでホイールベースで差別化。標準車が現行Q50(≒スカイライン)、ロングホイールベース車が現行Q70(≒フーガ≒シーマ)に相当するが国内発売はない模様だ。

ホンダ〜新たなフラッグシップは新型アコード

生産拠点や電動化戦略の見直しなど、ドラスティックな変革を行うホンダ。国内セダン・ラインアップは、シビックとアコードに集約される可能性が高いようだ。

「グレイス」
現行モデルは2013年11月にインドで発表された「シティ」がベースで、2014年12月に日本でも発売された。生産は埼玉県の寄居工場だが、今後国内コンパクトカーはフィットに注力する見込み。コンパクト・セダンは次期シビックセダンでカバーする。

「レジェンド」
現行レジェンドは北米向け「ACURA RLX」を日本市場向けにアレンジしたフラッグシップセダン。後輪左右を独立してコントロールする3モーター・ハイブリッドのスポーティなハンドリングが魅力だが、その次世代モデルの計画がない! 事実上の後継車は8月13日に北米でコンセプトカーが発表された「ACURA TLX」のロングホイールベース車が相当するが、国内導入の予定はいまのところないようだ。

画像: グレイスはもともと東南アジア方面を重視していた商品企画だった。次期型の国内発売予定がないのは頷ける。

グレイスはもともと東南アジア方面を重視していた商品企画だった。次期型の国内発売予定がないのは頷ける。

画像: レジェンドはホンダのフラッグシップセダンだが、3モーター式ハイブリッドを採用するなど採算は厳しい。北米では次期型はアキュラTLXに統合され、そのロングホイールベース版がRLXを名乗る可能性が高いが、国内導入の予定はないようだ。

レジェンドはホンダのフラッグシップセダンだが、3モーター式ハイブリッドを採用するなど採算は厳しい。北米では次期型はアキュラTLXに統合され、そのロングホイールベース版がRLXを名乗る可能性が高いが、国内導入の予定はないようだ。

画像: 去る8月13日に北米で発表された次世代TLXと思われるコンセプトカー(ACURA Type S Concept)。ロングホイールベース版がRLXを名乗る可能性もあるが、日本導入の予定はない模様。

去る8月13日に北米で発表された次世代TLXと思われるコンセプトカー(ACURA Type S Concept)。ロングホイールベース版がRLXを名乗る可能性もあるが、日本導入の予定はない模様。

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