2008年2月、トヨタ クラウンがフルモデルチェンジされて登場した。先代ゼロ クラウンから4年、「感動性能を追求した」という13代目はどんなモデルに進化していたのか。Motor Magazine誌では、さっそく販売が開始されたロイヤルとアスリートの試乗テストを行っている(ハイブリッドは遅れて5月販売開始)。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年5月号より)

もはや「世界一級のスポーツサルーン」と声を大にしてアピールのできるそんなアスリートに比べると、ロイヤルの走りの印象が多少インパクトの弱いものであったのは否めない。しかしそれは言ってみれば「比べる相手が悪かった」ということ。なぜならばこちらロイヤルシリーズの走りの実力もまた、絶対的には決して侮れない水準に達しているからだ。それは先のアスリートの場合と同様、雨のワインディングロードで証明されている。すなわち、こちらもまた、クラウン ロイヤルというモデルに相応しいとは思えないほどのハイペースでそうした条件の中を駆け回っても、VDIMの介入を容易に必要としたりはしなかったのだ。

路面凹凸への当たり感は、アスリートに対して確かにワンランクほどマイルド。一方で、そうして拾った振動の減衰は、アスリートよりもやや時間を要するという印象の違いもあった。が、それでも一般には「ロイヤルの方が乗り心地は上」と評する人は多いだろう。タイヤが発生するパターンノイズや空洞音の類がアスリートよりも小さく、静粛性により長けている。2.5Lと3Lという495ccと41ps差のある2タイプのエンジンを搭載するロイヤルだが、ここはできれば3Lユニットを選びたい。確かに2.5Lモデルでも必要にして十分な動力性能は確保されるが、「クラウン」というブランドに相応しい余裕感やフル乗車時のことを考えると、イメージ的にもよりピタリと来るのは3Lモデルの方だ。

クラウンという誰もが知る古くからあるブランド。しかし、それが誕生以来半世紀を越えた今でも時代遅れなモデルとなっていないのは、常々の新陳代謝に対する努力が行われてきたからこそだろう。そして、そうした勢いは間もなくリリースされるクラウン初のフルハイブリッドモデルによってさらに加速されるに違いない。

「日本のための日本のクルマは、今やミニバンと軽自動車しかない」と言われかねない現在、メルセデス・ベンツとBMWという両巨頭にも一矢を報いる内容を秘めた新型クラウンは、真に日本という国が誇りとすべき一台かも知れない。(文:河村康彦/Motor Magazine 2008年5月号より)

画像: 3.0ロイヤルサルーンGのインテリア。装備の高機能化が進むとスイッチ類が増える。それらをいかに使いやすく、シンプルにするかがインテリアの開発テーマだったという。

3.0ロイヤルサルーンGのインテリア。装備の高機能化が進むとスイッチ類が増える。それらをいかに使いやすく、シンプルにするかがインテリアの開発テーマだったという。

ヒットの法則

トヨタ クラウン 3.5 アスリート 主要諸元

●全長×全幅×全高:4870×1795×1470mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1650kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3456cc
●最高出力:315ps/6400rpm
●最大トルク:377Nm/4800rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速AT●車両価格:487万円(2008年

トヨタ クラウン 2.5 アスリート 主要諸元

●全長×全幅×全高:4870×1795×1470mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1600kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:2499cc
●最高出力:215ps/6400rpm
●最大トルク:260Nm/3800rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速AT
●車両価格:374万円(2008年)

トヨタ クラウン 3.0 ロイヤルサルーンG 主要諸元

●全長×全幅×全高:4870×1795×1470mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1630kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:2994cc
●最高出力:256ps/6200rpm
●最大トルク:314Nm/3600rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速AT
●車両価格:528万円(2008年)

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