V90とV90クロスカントリーに日本導入以来初めての改良が施され、エクステリア&インテリアの一部変更とすべてのパワートレーンの電動化を実施した。ここではその中でも電動スーパーチャージャーを搭載した「B6」モデルの3台をテストドライブした。(Motor Magazine2021年1月号より)

個性の異なるRデザインとインスクリプションとCC

私はSPAがデビュー当初から、その乗り心地にギクシャクしたところがあって、路面から強い衝撃を受けるとボディに微振動が残る傾向があると指摘してきた。しかし、新型ではこれらがすっかり解消され、目地段差を乗り越えた際のショックをスムーズに受け流すとともに、大きくうねった道でもボディをフラットに保つ心地いいシャシへと変貌していたのである。これもまた、上質さの改善に大きく寄与するものだ。

比較試乗に連れ出したのはRデザイン、インスクリプション、そしてクロスカントリー(CC)のグレードはB6AWDプロの3台。インスクリプションを標準タイプとすると、Rデザインは専用サスペンションが組み込まれたスポーツタイプ、CCは最低地上高をV90より55mm引き上げ210mmとしたオフロードタイプで、この位置づけが乗り心地やハンドリングにもそのまま反映されていた。

まず、乗り心地が快適でハンドリングとのバランスがもっとも高いレベルで両立されているのがインスクリプション。Rデザインはこれに比べると引き締まった乗り心地で、よりスポーティ指向。一方のCCはタイヤの外径が大きく、ハイトも高めなため、路面からの入力は3台中もっとも軽い。ただし、それだけに強い衝撃が加わったあとはゴム質系の弱い振動が短く残る傾向があった。また、ワインディングロードでは少し早めの操舵を心がける必要があるのもCCの特色だ。

もっとも、これらの違いは3台を乗り比べた時に初めて感じることであって、Rデザイン単独で試乗すればそうした印象は抱かなかったかもしれないし、CCのハンドリングがV90と異なると思わなかった可能性もある。それ以上に大切なのは、3台の違いがスペックの差を素直に反映したものであって、取り立てて指摘すべき変なクセを持っていなかった点にある。

だから、キャラクターの違いを必要以上に心配することなく、自分の使用目的にあったモデルを選ぶことがあとあと後悔せずに済む最大のポイントだろう。

画像: インスクリプションのインテリア。オレフォス社製クリスタルシフトノブを採用するのが特徴。

インスクリプションのインテリア。オレフォス社製クリスタルシフトノブを採用するのが特徴。

This article is a sponsored article by
''.