2020年11月19日にマイナーチェンジとなったレクサスのフラッグシップセダンであるLS。現行型は2017年に発表された5代目で、上質な走りはすでに定評がある。その上、今回どのような改良が施されたのか、その概要を解説するとともに、LS500h FスポーツおよびLS500 バージョン Lの試乗記をお届けする。

内部に圧倒的なパフォーマンスを秘めながらもジェントルに乗るのがふさわしい

パワーユニットにも手が加えられている。LS500系に搭載される3.5LのV6ツインターボエンジンは、電動駆動方式で過給圧を制御するウエストゲートバルブの開度を緻密に制御。アクセル操作に対して発生するエンジントルクを高め、加速レスポンスを向上させた。また、シフトスケジュールを変更し、ギア段を維持したまま加速できる領域を広げることで、シフトダウン頻度を低減している。

画像: 3.5LV6DOHCツインターボを搭載。422ps/600Nmというスペックも圧巻だが、今回のポイントは静粛性という。(LS500バージョンL)

3.5LV6DOHCツインターボを搭載。422ps/600Nmというスペックも圧巻だが、今回のポイントは静粛性という。(LS500バージョンL)

加えて燃焼室形状の最適化により、燃焼効率を高めることで出力、燃費性能、静粛性を向上。さらにコンロッド形状の最適化やクランクシャフトのクランクピン径を拡大することで軽量化と、剛性向上によっても静粛性を向上している。可変バルブタイミング機構(VVT)は油圧制御化し、軽量化を図るとともに、オイルコントールバルブの油路を短縮することで応答性の向上を図った。

方やハイブリッドエンジンを搭載したLS500hにパワーユニットに変更点はないものの、駐車場での高度運転支援技術システムである「アドバンスパーク」が標準装備されている。ドライバー監視のもと、カメラと超音波センサーを融合し、全周囲を監視することで、適切に認知、判断、操作を支援。ハンドル操作、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジの全操作を車両が支援するとともに、俯瞰映像に車両周辺の死角や目標駐車位置などを常に表示し、安全、安心でスムーズな駐車を実現している。

画像: Fスポーツには専用装備として20インチアルミホイールやマットブラックのスピンドルグリルなどが装備される。(LS500h Fスポーツ)

Fスポーツには専用装備として20インチアルミホイールやマットブラックのスピンドルグリルなどが装備される。(LS500h Fスポーツ)

まず試乗したのはLS500h Fスポーツだ。これはマットブラックのスピンドルグリルおよび専用サブラジエターグリルを採用したバージョン。とくにサブラジエターグリルのガーニッシュをサイドまで回り込ませることで、ワイドなスタンスを強調している。足元は20インチホイールなどのアイテムでスポーティさを増している。

20インチホイールを履くとなると乗り心地の向上を掲げたLSの改良の中では不利とも思えるが、それでもバネ下重量を3.5kg軽量カしたことや新AVSの採用の効果もあり、ゴツゴツ感をまったく感じさせないしなやかな乗り心地を実現している。短時間の試乗だったために本質的な走りの良さまでは感じることができなかったが、高速でのクルージングでは静粛性の高さも合わせて、快適な移動空間となるはずだ。

続いて試乗したのがLS500 バージョンLだ。こちらは3.5LのV6ツインターボを搭載と聞くと、どうしても過激な速さを期待してしまうが、今回短時間の試乗での一般走行領域はあくまでもジェントルなフィーリング。乗っていてエンジンの主要パーツを軽量化、高剛性化してまで静粛性の高さを狙ったという意図がはっきりと伝わってくる。もちろんその気になりさえすれば鋭く回転を上げる。ステアリングに伝わるしっとりとしたフィーリングとともに、高性能を内に秘めながらも、あくまでもジェントルに走るのがふさわしいクルマといえるだろう。(文:Motor Magazine編集部 飯嶋洋治/写真:井上雅行)

画像: V6ツインターボエンジン搭載のLS500 バージョンL。静粛性が高いのはもちろん、その気になってアクセルを踏めば軽やかに回転を上げる。

V6ツインターボエンジン搭載のLS500 バージョンL。静粛性が高いのはもちろん、その気になってアクセルを踏めば軽やかに回転を上げる。

レクサスLS500h Fスポーツ(2WD)主要諸元

●全長×全幅×全高=5235×1900×1450mm
●ホイールベース=3125mm
●車両重量=2260kg
●エンジン= V6DOHC
●総排気量=3456cc
●最高出力=220ps/6600rpm
●最大トルク=356Nm/5100rpm
●モーター=交流同期電動機
●モーター最高出力=132kW
●モーター最大トルク=300Nm
●駆動方式=FR
●トランスミッション=電気式無断変速機
●車両価格(税込)=1351万円

レクサスLS500 バージョンL(2WD)主要諸元

●全長×全幅×全高=5235×1900×1450mm
●ホイールベース=3125mm
●車両重量=2210kg
●エンジン= V6DOHCツインターボ
●総排気量=3444cc
●最高出力=422ps/6000rpm
●最大トルク=600Nm/1500-4800rpm
●駆動方式=FR
●トランスミッション=10速AT
●車両価格(税込)=1345万円

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