1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。今回は、7代目ゴルフのプロフィールについて語ろう。

デザインのこだわりに見える「ゴルフ」らしさ

画像: 初代から7代目までのゴルフのテール部分。太いCピラーが歴代ゴルフの特徴。とくに4と7は低さを追求している印象。

初代から7代目までのゴルフのテール部分。太いCピラーが歴代ゴルフの特徴。とくに4と7は低さを追求している印象。

フロントオーバーハングが短いことと合わせて、ボンネットが長く見えるようにデザインされている。これはフォルクスワーゲン ブランドのデザインを統括するクラウス・ビショフによると、「キャブバックワード」のデザインということだった。

元来、FF車は客室を広く採るためにボンネットの短い、いわゆるキャブフォワードのデザインになりがちで、いっぽうFR車はオーバーハングを短くできることを生かしてプロポーションのよさを強調するのが、近年とくに目立っている。「キャブバックワード」は、要するに同郷ドイツに多いFRのプレミアムモデルたちと同じような哲学でクルマづくりをしていることをアピールしているのだった。

デザイン上のもうひとつの見どころは、とくにゴルフ4以来、「名物」になっていた「く」の字型のCピラーを強調したことである。ゴルフ5と6でも「く」の字は継承されてはいたが、テールランプが割ってはみ出ていたり、水平のショルダーラインがジャマしていたりしていた。そこを今回は再びなくして、「く」の字がきれいに目立つようにデザインされた。

これらは、基本がファミリーカーのクルマとしては、なかなか異例なこだわりであり、ゴルフがデザインにこだわりがあるのを改めて感じさせた。とはいえ、それでもあくまで派手にはしないというのもゴルフらしいところであった。

画像: ゴルフ史上初めて、ドライバー側にセンタークラスターが傾斜するデザインを採用。パネル面にはピアノブラック仕上げを採用している。

ゴルフ史上初めて、ドライバー側にセンタークラスターが傾斜するデザインを採用。パネル面にはピアノブラック仕上げを採用している。

リアサスペンションは、ゴルフ5以来マルチリンクが採用されていたが、引き続き上級モデルではマルチリンクを使うものの、馬力が低めの下位グレードでは、かつて使っていたトーションビームに戻された。トーションビームは弟分のポロでは使われ続けているもので、MQBではモデルによってこういった部位ごとのパーツの使い分けが自由にできるようになった。トーションビームは性能はやや劣るものの、軽量でコスト面でも有利だ。それに、とくに日本のような低い速度域の道路では、トーションビームでもなんら問題はなかった。

エンジンは引き続き、フォルクスワーゲンの定番となったダウンサイジングのTSIがメインだが、日本には1.4Lに加えて1.2Lが導入された。これらは新世代のEA211系統のもので、ポロやup!に積む3気筒と共通のスペックを持っている。1.4Lは燃費追求のために気筒休止が採用されており、低負荷、低回転時には2気筒を休止させる。

このほか先進安全装備の充実が目立っており、この当時は比較的まだ珍しかったアダプティブ クルーズコントロール(ACC)やレーンキープアシストも、日本仕様では中上位グレードに標準となっていた。(文:武田 隆)

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