1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。最終回となる今回は、8代目ゴルフのアウトラインと、その歴史を振り返ってみよう。

さらに進化したスポーツモデルのGTIとR

eTSIのエンジンには1Lと1.5Lがあり、システム出力としては110ps/130ps/150psの3種が揃う。プラグインハイブリッド(PHEV)は2種類ある。ハイパワーモデルのGTEはゴルフ7にもあったが、最高出力が204psから245psへと大幅に向上し、EV走行距離も伸びた。PHEVに初めて加わった通常モデルのeハイブリッドは先代GTEと同じ204psだ。

画像: GTIを中心に、左がGTD、右がGTE。いずれの動力システム搭載車でも、GTI的なモデルが設定されている。

GTIを中心に、左がGTD、右がGTE。いずれの動力システム搭載車でも、GTI的なモデルが設定されている。

スポーツモデルのGTIとRは、どちらもここ最近までの進化をまた一歩進めた感じだ。GTIのエンジンは、先代のGTIパフォーマンスの245psユニットをスタンダードモデルが継承した。ゴルフ8のGTIは電動化するかという読みもあったが、そこは引き続きGTEが担っている。ただ、いつでもそれを交代できる体制は整っているわけで(GTEに主役が変わることもあるかもしれないが)、ドイツや世界の電動化の波から考えると、これが最後の純内燃エンジンGTIになったとしてもおかしくはない。

このほかGTDも健在で、「GTI的モデル」は三兄弟体制を敷いている。GTIには早くもGTIクラブスポーツが設定されて、最高出力は300psとなっている。2021年には、GTI45周年を記念する特別モデルのGTIクラブスポーツ45も登場している。

Rの最高出力は先代からプラス10psの320ps。GTIもRも、ニュルブルクリンクを走りこんで開発されたという。RはオプションのRパフォーマンスパッケージを採用すると、ドライブモードに「ニュルブルクリンク モード(スペシャル)」や「ドリフト」という、武闘派ドライバーの鼻息を荒くさせるような名のモードが加わる。

また、日本市場では気づかれにくいのだが、8代目ゴルフには3ドアモデルがなく、5ドアのみになった。これは近年の実用車の世界的な傾向だ。

画像: ワゴンのヴァリアントには、引き続きSUV風仕立ての「オールトラック(写真のモデル)」も設定される。

ワゴンのヴァリアントには、引き続きSUV風仕立ての「オールトラック(写真のモデル)」も設定される。

8代目にまで進化したゴルフだが、電動化や自動運転化でクルマの未来が予想できない中、これからもゴルフが変わらずに存在し続けられるのかは、正直に言って分からない。世界初のハイブリッド量産車として登場したトヨタ プリウスは、実用車でありながらスター的な存在になり、かつベストセラーカーとなったことで、ゴルフに少し近いものがある。ただ、その後ハイブリッド車が珍しくなくなり、EVも増えてきたことから、4代目のプリウスは目立つデザインで特別感を出そうとするなどして、苦戦もしている。

その点ではゴルフは、動力がなんであろうと、その価値は変わらないように思える。ゴルフは初代の登場以来47年間で8代続いて、しかもそのブランド力は今も変わってはいない。過去にはゴルフにもぶれ幅があったが、振り返るとやはり芯が一本とおっている。そんな質実剛健のゴルフが、この激変の時代をどう生きぬいていくのか、楽しみでもある。(文:武田 隆)

※「ゴルフのアプローチ」の連載は今回で終了となります。ご愛読ありがとうございました。

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