ボルボのベストセラーでありデビューから8年で約100万台をセールスした大ヒット作、XC60。その新型がいよいよ日本に導入された。ここではPHEVのT8とガソリンのT5をさっそく試乗した。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2017年12月号より)

とても快適な乗り心地。SPAは熟成が進んでいる

画像: インスクリプションにはドリフトウッドパネルやステアリングホイールヒーター、パノラマガラスサンルーフ(T8のみ)、ヘッドアップディスプレイなどが標準装備されている。

インスクリプションにはドリフトウッドパネルやステアリングホイールヒーター、パノラマガラスサンルーフ(T8のみ)、ヘッドアップディスプレイなどが標準装備されている。

まずはT8 ツインエンジン AWDで走り出す。エンジンスタートは、センターコンソール上のノブを右に捻って行う。停止時も、再度右へ捻るよう仕様は改められている。

思わず目を見張ったのがスタートダッシュの快活さだ。パワートレーンはXC90と共通。最高出力318ps、最大トルク400Nmの2L 直列4気筒ターボ+スーパーチャージャーエンジンで前輪を、同87ps、240Nmの電気モーターで後輪を駆動する。一方で車重は2170kgと170kgも軽いから、その差が余裕に繋がっているのだろう。

電気モーターのドライバビリティへの恩恵は大きい。アクセルペダルに足を乗せた瞬間のツキは良いし、上り勾配をグイグイと加速していくパワフルさも備えている。

乗り味は全般に穏やかな感触に終始する。標準装備される電子制御式4輪エアサスペンションは今どき珍
しいくらいソフトなセッティングとされていて、当たりの柔らかさは20インチというタイヤサイズがにわかには信じられないほどだ。路面の継ぎ目などを乗り越える際には、やや鋭い入力があるものの、全体的には非常に快適と評することができる。ボルボがラージクラスに使っている基本アーキテクチャーのSPAは、新しいモデルが登場するごとに熟成が進んでいるようで、ライドコンフォートの向上を実感できる。

この良好な乗り心地にも、全高の低さがひと役買っているに違いない。それだけ柔らかいのに姿勢は十分にフラット感があって、頭の横揺れ、縦揺れがまったく気にならず、心地よく乗っていられるのである。強いて言えば直進性には、やや甘さを感じなくはないが、饒舌なステアリングフィールのおかげで、問題と感じるほどではない。

そのステアリングはレスポンスも決して悪くなく、思ったとおりのラインをなぞることができる。車重があるだけにコンフォートモードで攻めるような走りをすると、操舵に対して徐々に挙動の遅れが出てくるようになる。あくまで適度なペースで、余裕を楽しむクルマである。

当然ながら新型XC60も、ボルボ自慢の先進安全・運転支援装備であるインテリセーフが全車に標準で装備される。この新型XC60が初採用の新たな機能も多数盛り込まれた。

機能総数は実に16以上にも及ぶだけに、すべてにはとても触れられないが、たとえば夜間を含む歩行者・サイクリスト・大型動物検知機能を備えた緊急自動ブレーキのシティセーフティには、必要な場合に操舵をアシストし、さらに内輪のブレーキをつまんで向きを変えやすくする機能が加わっている。またBLIS(ブラインドスポット インフォメーションシステム)は、後続車が来ているにもかかわらず車線を移ろうとした時、修正操舵を行うようになった。そして、センターラインを超えて対向車線に進入してしまい、衝突の危険が高まった時の車線引き戻し機能も搭載されている。普段の走りでは、これらは存在を高らかに主張してくるわけではない。しかしながら必要な時には、スッと手を差し伸べてくれるのが有り難い。

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