振子のような動きのスイングアクスルはちょっとくせもの?
独立懸架でもっともシンプルで古い形式と言えるのがスイングアクスル方式だ。駆動輪に用いられる場合、ドライブシャフトのデフ側に可動するジョイントがあり、シャフトがアームも兼ねるような形でタイヤ側に直結している。デフとドライブシャフトに角度が付くが、タイヤとドライブシャフトは常に直角で接続されるという特徴を持つ。
他のサスペンション形式と同じくスプリングとショックアブソーバーがその動きを制御するが、それらの取付部はアクスルチューブだったり、アップライト側だったり、アーム(リンク)を使用したりだったりと様々だ。有名なところで言えば、ポルシェ 356やフォルクスワーゲン ビートルにもスイングアクスルは使われている。
独立懸架式であるためバネ下重量が軽く、コーナリング時に沈んだアウト側はネガティブキャンバーとなるため接地性も悪くない。しかし、スラローム走行のように大きな切り返しを続けるときなど、キャンバー角を大きく変化させることから姿勢を不安定にしやすくなるというデメリットがある。
スイングアクスルでは、ブレーキング時のノーズダイブによりリアサスペンションが持ち上がるとポジティブキャンバー側に動く。フロント荷重になるのでブレーキの効き自体を確保できるが、リアが不安定になりやすい面もあった。
キャンバー変化は、スイングアームを長くすれば小さくできる。そのためFF車のリアサスペンションに採用したとき、トレッド長ほどのスイングアームをX状に交差させて配置することにより、キャンバーの変化を少なくした例もあった。
国産車にも用いられている。有名なところでは、日野 コンテッサやいすゞ ベレットだ。ベレットの場合はちょっと特殊で、ダイヤゴナルリンク式のスイングアームとなっている。これはドライブシャフトの他に、ダイヤゴナルリンクというセミトレーリングアームのようなリンクを用いているのが特徴だ。
動きとしてはサスペンションが上下動をした場合、リンクに規制されてバンプ・リバンプでトー角の変化も起きること。コーナリング時のアウト側はバンプしてトーインに動くために、コーナリング時は安定方向となる特性を持たせている。(文:Webモーターマガジン編集部 飯嶋洋治)