リーフスプリングは素材技術の進化で生き返った
バネ鋼を用いたリーフスプリングは、その頑丈さから主にトラックをはじめとする貨物車で用いられているが、乗り心地の悪さや異音の発生もあり、現在の乗用車に用いられない。ただ、素材をGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)に変えることで、現代の乗用車で生き返ったといえる。
これらの素材は、スチールに比べると軽量であり、ストロークも大きく取れるというメリットを持つ。具体例を見てみると、日産が1991年に発売したC23型バネット・セレナと1993年に発売したラルゴだ。これはリアサスペンションにGFRP製のリーフスプリングを横置きにし、マルチリンク式を成立させている。
また、ボルボは2016年に登場したXC90のリアサスペンションにCFRP素材を使ったリーフスプリング(マルチリンク式)を採用しており、これに続いてV90やXC60などにも同様に搭載している。高さのあるコイルスプリングと比較して省スペースを実現できることから、ラゲッジスペースを広く取れるのだ。
このおかげで日産車・ボルボ車ともに省スペースであるとともに、乗り心地もコイルスプリングに劣らないものとなっている。
変わり種スプリング、ふたつ目はラバーコーンスプリング
「変わり種スプリング」の有名どころでは、1959年に登場したBMCミニ(ADO15型)に用いられたラバーコーンスプリングは外せない。これはゴムをそのままスプリングとして使用しているもので、採用した理由は低コストで、クラシックミニのような小型車の中に効率良く納めるのに好都合だったことを挙げられる。
このラバースプリングは、非線形特性を持つということも特徴的だ。コイルスプリングは巻き数と巻き幅(ピッチ)が同じならば、伸びたり縮んだりしてもバネレートはつねに一定となるが、ラバースプリングの場合、縮むとバネレートが上がるという特性を持つ。
このおかげで例えば重量物を積載したときに、その荷重によってスプリングが自然に硬くなってくれるのはメリットとなる。つまり、車高が極端に下がらないわけだ。コイルスプリングでも不可能ではないが、巻き系やピッチに工夫をした非線形スプリングを用いないとできないことだ。
デメリットとしては、しなやかさでコイルスプリングに及ばないので、乗り心地があまりよくないということ。また、ゴムという素材の性質上劣化が早く、コイルスプリングで不要な定期的な交換を必要とする。こうしたデメリットにより、その後も主流とはなり得なかった。(文:Webモーターマガジン編集部 飯嶋洋治)