4代目ゴルフ GTI「歴代でもっとも落ち着いたスタイルを採用」
1998年には、4代目ゴルフ GTIが登場する。4代目GTIは「より上質かつスポーティ」であることを目指したモデルだったが、ファンからは「歴代GTIの中でもっとも控えめなスタイリング」と言われている。たしかにラジエーターグリルに赤のアクセントもなく、ブラックのオーバーフェンダーも見当たらず、シートのタータンチェック柄も控えめなものだった。
1.8Lエンジンは当初の最高出力は110psだったが、GTIとしては初めてターボチャージャーを装着して150psにパワーアップ。2001年に登場した25周年を祝う特別仕様車の2.5L 直列5気筒ターボエンジン仕様は180psを誇った。
歴代GTIの中でもっとも控えめなスタイリングと言われるが、機敏で質の高い走りやATの積極的な採用など、GTIをより身近に楽しめるモデルでもあった。
4代目ゴルフGTIの内外装はやや大人しくなったが、その一方で、この世代の終了間際にゴルフ史上最強にして最速、そしてもっとも高価なゴルフ「R32」が誕生して大成功を収めたことは、GTIにとってもエポックメイキングな出来事だった。
フォルクスワーゲンは当初R32の登場に慎重で、まずは5000台の限定生産としてスタートしたが、GTIとはまた異なるその価値観は大きな反響を呼び、結局、1万4000台もの台数が出荷された。V6エンジンと4WDシステムを搭載したゴルフR32は、GTIとは異なるスポーツの方向性を示していた。そして、このモデルの成功により、GTIは次の世代で「よりGTIらしく」進化できることになるのだった。
●4代目ゴルフ GTI
エンジン:直列4気筒-直列5気筒ターボ
エンジン排気量:1896-2324cc
最高出力:110-180ps
最高速:193-222km/h
5代目ゴルフ GTI「キャッチコピーは GTI is back」
5代目ゴルフ GTIのコンセプトカーは、2003年9月のフランクフルトモーターショーに「GTI is back」というキャッチコピーとともに登場。翌2004年9月のパリサロンで量産仕様を公開し、11月に販売が開始された。
フォルクスワーゲン初のガソリン直噴ターボと、新世代ギアボックス6速DSG(デュアルクラッチトランスミッション)を採用。ラジエーターグリルの赤いアクセントやタータンチェック柄のスポーツシートなど、かつての「GTIのアイコン」も復活した。
新しい2L直噴ガソリンターボエンジンは最高出力200psを発生。最高速度は235km/hに達し、方向転換が見られていたGTIのコンセプトは再び軌道修正、「あの頃(=初代〜2代目)の走りが復活した」と人気を集めた。
2006年に登場した30周年記念車は最高出力230psを発生。2007年には、初代で登場していた「GTI ピレリ」が復活したことも話題となった。
●5代目ゴルフ GTI
エンジン:直列4気筒ターボ
エンジン排気量:1984cc
最高出力:200-230ps
最高速:233-245km/h