スポーツカー/スーパーカーの世界にも電動化の波は着実に押し寄せてきているが、 2021年はそれでもまだ魅力的なガソリンエンジン車が続々と投入されている。(Motor Magazine 2022年2月号より)

BMWはMブランドを活用しスポーツカーの未来を模索

ジャーマン御三家のように、もはやフルラインナップブランドと化したメーカーは、その開発投資のカテゴリーが広がりすぎて苦労しているに違いない。

たとえばBMWは他ブランドと同様に新たなBEVシリーズで電化の地平を切り拓こうとする一方で、M3/M4のような伝統的エンジンスポーツモデルも進化させなければならなかった。

そういう意味では、3シリーズおよび4シリーズという基本ポテンシャルの高いスタンダードモデルを足がかりに、期待を上回る「M」を出してくれたことで、ファンならずとも安堵したに違いない。新型M3およびM4は箱型スポーツカーの原点に立ち戻ったかと思うほど、硬派でスリリングなマシンに仕上がっていた。

そしてBMWは、先日の日本カー・オブ・ザ・イヤーで「デザイン・カーオブザイヤー」を受賞した4シリーズのバリエーション拡大にも力を注いでいる。走行性能を高めたMパフォーマンスモデルとなるM440i xDriveカブリオレのデリバリーを開始する一方、7月には同仕様のグランクーペを発表するなど。大型キドニーグリルを持つ4シリーズでその存在感をアピールする。

ポルシェは2021年、「ひと段落」ついた年まわりだった。992シリーズとタイカンの派生モデルを精力的に上陸させている。

国によってはタイカンの人気が凄まじいが、やはりポルシェを代表するモデルといえる911シリーズの人気もまたとどまるところを知らない。タルガなど人気の集中したグレードではなかなか納車も進まなかったようだが、ターボSやターボのデリバリーも始まり、ここにきてようやくユーザーの手元に届きつつある。さらにGT3やGTSといった人気グレードの予約も開始されており、こちらは2022年早々にも日本上陸を果たしそうだ。

911ターボに乗って面白いと思ったことは、普通に乗っている限り純然たるグランツーリスモで、そういう意味ではスタンダードな911の延長線上にあるキャラクターの持ち主だったけれど、ひとたび乗り手が本気モードになれば、一気にスポーツカーの顔を出す。このメリハリがとても愉快。

翻って992型のGT3はというと乗った瞬間からキレッキレのステアリングフィールが印象的で、逆に攻め込んでいった時の安定感がこれまでにないレベルだった。キャラクターの演出を二層で企むあたり、ポルシェの911に対する入れ込みは我々が想像する以上に奥深い。

画像: BMW M3セダン/M4クーペ。BMW M社による高性能モデル、Mシリーズの代表格が4ドアのM3セダン(写真)と2ドアのM4クーペだ。グレード編成はスタンダードな「M4(6速MT)」と、より高性能な「M3/M4コンペティション(8速AT)」を設定。

BMW M3セダン/M4クーペ。BMW M社による高性能モデル、Mシリーズの代表格が4ドアのM3セダン(写真)と2ドアのM4クーペだ。グレード編成はスタンダードな「M4(6速MT)」と、より高性能な「M3/M4コンペティション(8速AT)」を設定。

ランボルギーニもいよいよ電動化に向け歩み出す

最後にランボルギーニについて触れておこう。2021年末になってウラカンの高性能仕様STOをリリースした。サーキットでは汗をかかずとも速く走れてしまうモデルである。ランボルギーニのロードカー史上、もっともサーキットに近い存在だ。

SUVであるウルスの販売も相変わらず好調な一方で、超高額モデルのシアンも順調にデリバリーされている。シアンロードスターにも試乗することができたが、アヴェンタドールのネガ、たとえばISRの変速フィールを面白いように消していたという点で、確かな進化を実感した。同じメカニズムをもつカウンタックLPI800-4にも期待が持てそうだ。

フラッグシップのアヴェンタドールはウルティメという限定車を設定し、その生産をもっていよいよ11年に及んだモデルライフを終えることになる。アヴェンタドールは歴史上、もっとも成功した12気筒ミッドシップカーとなった。

今後、ランボルギーニは各レンジにおいてプラグインハイブリッド化を進める。V12気筒エンジンの継続開発も発表しており、ということはつまりアヴェンタドール後継の次世代フラッグシップはV12のPHEVとなるようだ。(文:西川 淳)

画像: ランボルギーニ ウラカンSTO。STOとは「、スーパートロフェオ オモロガータ(スーパートロフェオの公認モデル)」の略称で、レースの伝統を受け継ぎながら、ロードカーに認定されたウラカンのハイパフォーマンスモデルとなる。ベース車であるウラカンの輪郭に改良を加えてエクステリアデザインを一新。自然吸気の5.2L V10DOHCエンジンは、640hp/565Nmを発生、7速DCTを組み合わせ後輪のみを駆動する。

ランボルギーニ ウラカンSTO。STOとは「、スーパートロフェオ オモロガータ(スーパートロフェオの公認モデル)」の略称で、レースの伝統を受け継ぎながら、ロードカーに認定されたウラカンのハイパフォーマンスモデルとなる。ベース車であるウラカンの輪郭に改良を加えてエクステリアデザインを一新。自然吸気の5.2L V10DOHCエンジンは、640hp/565Nmを発生、7速DCTを組み合わせ後輪のみを駆動する。

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