アウディはニューeトロンと高性能SUVに注目
いまや数ある自動車のジャンルのなかで最大派閥に成長したといっても過言ではないSUV。長引く半導体不足の影響を受けてはいるものの、2022年も数多くのニューモデルが日本上陸を果たすと見られる。それらの特徴を端的に言い表すのならば、さらなる個性化と電動化となるだろう。
最初に紹介するのは、アウディのBEVシリーズ「eトロン」の第3弾にあたるQ4 eトロン。すでに発売中のeトロンファミリーは、eトロン(ややこしい!)シリーズとeトロンGTシリーズだが、いずれも価格は1000万円以上だった。しかし、Q4 eトロンは599~716万円の価格帯で、ボディサイズも既存のQ5と変わらないので、これを起爆剤としてアウディ製BEVの販売台数が一段とジャンプアップすることが期待されている。
そのバッテリー容量は82kWhで、欧州発表の航続距離は516km(WLTP)と余裕たっぷり。もうひとつ特徴的なのが125kWまでの急速充電に対応している点で、これにより充電にまつわる不便が大きく解消されることが期待される。
ちなみにプラットフォームはフォルクスワーゲンのIDシリーズと同じMEBで、日本仕様はモーターをリアに搭載して後輪を駆動。エンジン車風にいえばRRで、これによってスペース効率が格段に向上するとともに、懸念されるスタビリティに関してはモーターの優れた電子制御性を活用して克服している模様である。
同じくアウディは今年2月に新型SQ2を発売した。言うまでもなく、先ごろマイナーチェンジを受けたQ2の高性能版で、2Lガソリンターボエンジンは最高出力300と最大トルク400Nmを発生。欧州発表値では0→100km/h加速を4.9秒で走り抜ける俊足の持ち主だ。
外観は、フロントグリルの格子模様が見直されるとともにブラックにペイントされ、ダイナミックな風貌に生まれ変わっている。初期型は乗り心地がかなりハードだったので、これがどう見直されたかも注目のポイントだろう。
SUV最強のパワーを誇るモンスターモデルが登場
アストンマーティンからは同社初のSUVであるDBXにハイパフォーマンスバージョンが追加される。その名も「DBX707」は、ご想像のとおり4L V8ツインターボエンジンから最高出力707psを発揮。最大トルクも900Nmに達する。ちなみに、現在、量産SUVで最強とされるのはランボルギーニウルスの650psなので、DBX707はこれを50ps以上も凌ぐことになる。
さらにファイナルをローギアード化することで、0→100km/h加速はSUVとして驚異的な3.3秒を達成。最高速度も310km/hを豪語する。これに合わせて足まわりも強化されるほか、フロントグリル、リアスポイラー、オプションの23インチホイールなどのデザインが大幅に見直されている。次号で国際試乗会の様子をお届けする予定だ。
アルファロメオ トナーレは、同ブランドに新時代が訪れたことを告げる重要なモデルである。そのエクステリアデザインは、既存のステルヴィオとどことなく似ているが、ステルヴィオよりも薄く仕上げられたヘッドライトとテールライトなどはアルファロメオの次世代デザイン言語を反映したものという。ちなみに外寸は全長4.53×全幅1.84×全高1.6mで、ステルヴィオよりもひとまわりコンパクトになっている。
注目のプラットフォームは、旧FCAグループの手で新開発されたものと見られる。パワートレーンはマイルドハイブリッドとプラグインハイブリッドの2タイプ。このうちマイルドハイブリッド版は新開発の1.5L 4気筒ガソリンエンジンをベースにしており、130psと160psの2バージョンを用意。いずれも前輪を駆動する。
そしてプラグインハイブリッド版は「マルチエア」1.3L 4気筒ガソリンエンジンに15.5kWhのバッテリーとモーターを組み合わせ、システム出力は275psを発生。0→100km/h加速を6.2秒でクリアする一方、最長80kmのEV走行が可能という(欧州発表の市街地サイクル)。なお、このプラグインハイブリッド版はエンジンで前輪を、そしてモーターで後輪を駆動する4WDであることから、アルファロメオの伝統的なグレード名であるQ4が用いられている。