イタリア車とフランス車にも注目したいモデルが多い
ルノー アルカナも、同社が電動化へと向かうことを指し示す重要なモデルだ。ただし、アルカナの場合はハイブリッドシステムそのものが画期的だ。いわゆるパラレルハイブリッドとシリーズハイブリッドのどちらにも変化できる柔軟な構成とする一方で、1.3L自然吸気ガソリンエンジンには4速、モーターには2速の変速機を組み合わせることで、各パワープラントの小型化と効率化を実現。
さらにドグクラッチで動力を断続することでダイレクトな感触も手に入れている。「E-TECH」と名付けられたこのハイブリッドシステムは、小型ディーゼルエンジンの代替することを目指して開発されたもので、高速燃費も期待できそう。
なお、本国ではハイブリッドに加えてPHEV版も発表済みだ。アルカナはB/CセグメントのSUVクーペだが、足まわりはルノーらしい快適性とスタビリティの高さを兼ね備えているので、かなりの注目モデルと言える。
注目度という意味では、ここで紹介するニューモデルのなかでもトップクラスに位置するのがレンジローバーのフルモデルチェンジだ。とくに目を引くのが、そのスタイリング。どう見てもコンセプトカーとしか思えないこのシンプルな造形を生み出したのは、いまやジャガー・ランドローバー社全体のデザインを統括するとともに同社の取締役に就任したジェリー・マクガバン氏である。この作品には、マクガバン氏らしい美意識が究極に近い形で表現されているように思える。
パワートレーンはインジニウムと名付けられた同社オリジナルの3L直6エンジン(ガソリンとディーゼル)のほか、新開発の4.4L V8ガソリンもラインナップ。直6ガソリンにはPHEVが組み合わされるほか、24年には同ブランド初となるBEVも登場する見通しだ。
希少なピックアップに続いて注目のBEVも上陸予定
このレンジローバーと対極に位置するのがジープの新作、グラディエーターかもしれない。ひとことでいえばラングラーの拡大ピックアップトラックで、ラングラーのホイールベースを480mm延長することで5人乗りのダブルキャブボディと荷室を生み出している。日本導入グレードがルビコンのみと聞けば、その走破性の高さも想像できるはず。エンジンは3.6L V6ガソリンを搭載。価格は770万円とお手頃だ。
最後に紹介するのは、フォルクスワーゲンのID.4。急激な電動化シフトを進める同社は21年26万台を越すBEVを販売したが、ここでトップセールスを記録したのがSUVのID.4で、その数は約12万台に達した。
IDシリーズはフォルクスワーゲンが次世代の主力製品と位置づけるBEVで、プラットフォームはアウディQ4 eトロンと同じ新開発のMEBを採用。リアモーター後輪駆動のレイアウトもQ4 eトロンと同様だが、モーター出力は204psで0→100km/h加速は8.5秒でクリア。
77kWhのバッテリーを搭載した場合、航続距離は最長で520kmに到達する(WLTP)。なお、ID.4は年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤーに選出されている。
いずれアヤメかカキツバタ。2022年も注目のSUVが多数、日本上陸を果たすことだけは間違いないだろう。(文:大谷達也/車種解説:Motor Magazine編集部 小泉優太)