SUVのスタンダードモデル「ティグアン」に「やっと」4輪駆動仕様の4モーションが導入となった。さらに「ゴルフ ヴァリアント」にもディーゼルエンジン搭載モデルが追加。ユーザーが待ち望んでいた最新モデルたちのバリューを、さっそくチェックだ。(Motor Magazine 2023年3月号より)

フォルクスワーゲンの主力、ティグアンに加わった4WDモデル

相変わらずの半導体不足にコロナ渦の影響が重なって、一時は供給が思うに任せなかった自動車産業界。とりわけドイツ系メーカーは、ここに政情不安という要素も加わり、計画どおりに新型車を導入できない状況が続いてきた。そうした困難を乗り越え、少しでも充実したラインナップを、1日も早く顧客に届けたい・・・。日本でビジネスを展開する各インポーターの担当者は、そんな思いでここ数年を過ごしてきたはずだ。

画像: どちらもユーザーの期待値は高い4モーションとディーゼルエンジン搭載。(左:ティグアン TSI 4モーション Rライン、右:ゴルフ ヴァリアント TDI Rライン)

どちらもユーザーの期待値は高い4モーションとディーゼルエンジン搭載。(左:ティグアン TSI 4モーション Rライン、右:ゴルフ ヴァリアント TDI Rライン)

それはフォルクスワーゲンにとっても同じこと。ニューモデルの投入に際して、まずは売れ筋をリリースし、追ってラインナップを拡充するというスタイルを採ってきたのはこのためだが、先ごろティグアンとゴルフ ヴァリアントに重要なモデルが追加されたので、ここで紹介しよう。

まずはティグアンから。フォルクスワーゲンのSUVというと、最近はコンパクト系のTクロスとTロックが注目株だが、本格派CセグメントSUVのティグアンも2021年5月にまずは主力グレードのマイナーチェンジを実施。

排気量をそれまでの1.4Lから1.5Lに拡大したガソリンエンジンモデルとスポーティなティグアンRの導入を開始した。ただし、通常ラインに関しては前輪駆動のみで、ティグアンRを例外として4WDは「お預け」とされてきた。ところが22年9月、待望の4輪駆動仕様がついにリリースされたのである。

どんな道でも無理なくこなす4気筒ガソリンエンジン

TSI 4モーションと名付けられた4WDモデルは、その名から想像されるとおりガソリンエンジンを搭載。ただし、大量の荷物を積んで悪路を走破するケースを想定して、エンジンは前輪駆動系の1.5Lターボではなく2Lターボが選ばれた。「ガンガン走って欲しい」と、メーカーが励ましているかのような設定だ。

画像: ティグアン TSI 4モーション Rライン。190ps、320Nmを発生する2L直4ターボエンジンで4輪を駆動する。

ティグアン TSI 4モーション Rライン。190ps、320Nmを発生する2L直4ターボエンジンで4輪を駆動する。

190psと320Nmを発生する4気筒エンジンの実力は侮りがたく、市街地はもちろん、高速道路やワインディングロードでも不満を覚えなかった。正直、「これがディーゼルだったら、もっと力強かったのになあ」と思わなくもなかったが、ガソリンエンジンゆえに回転フィールは極めて滑らかで、始動時や低回転時に無粋なノイズを発しない点は嬉しい。

乗り心地やハンドリングは、試乗車がスタッドレスタイヤを履いていたので厳密な評価は下せないものの、サスペンションの設定は全般的にふんわりとしていて心地よかった。おかげでロールはいくぶん強めに現れるものの、重心高の高いSUVとしては標準的な範囲。むしろ、これを無理に抑え込もうとして硬い足まわりにされるよりは︑こちらのほうが好ましいと個人的には思ったくらいだ。

高めの着座姿勢ゆえに見晴らしがいいのもSUVならではの美点。後席のヘッドルームに余裕があったり、後述するゴルフ ヴァリアントより全長は短いのに荷室容量が同等だったりするのも、1675mmの全高がもたらすメリットといって間違いない。

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