2022年に初めてフランスブランドNo.1となったルノー
2022年の日本市場において、ルノーは過去最高の販売台数8615台を記録し、はじめてフランスブランドのナンバーワンになった。2023年も、上半期(1〜6月)は前年比99.4%の4004台で、純輸入車ブランドでは11位。フランスブランドではプジョー(8位/4457台)に次いでいる。登録台数ではほぼ前年並みの数値だが、新型コロナウイルス感染拡大による部品供給不足の影響などもあり、受注ベースならば2022年をクリアしているようだ。
車種別の登録台数では、2023年1〜5月のデータでルーテシアが604台、キャプチャーが636台、アルカナが399台、カングーが384台といったところ。カングーのデリバリーはこれから本格化するだろうし、ルーテシア/キャプチャー/アルカナのE-TECH(イーテック)モデルが好調なことも考えると、2023年も下半期次第で2年連続でフランスブランドのナンバーワンになれるかもしれない。
日本市場におけるルノー人気の要因には、この「E-TECH」の存在が挙げられる。ルノーでは、電動車(電気自動車、プラグインハイブリッド車、フルハイブリッド車)を総称して「E-TECH」と呼んで展開している(マイルドハイブリッド車は含まない)。現在のところ、日本仕様のE-TECHはフルハイブリッド車だけだが、将来的には電気自動車やプラグインハイブリッド車の導入もあるだろう。
当WebモーターマガジンでもE-TECH フルハイブリッドについて何度か紹介しているので、ここで詳しくは語らないが、1.6Lの自然吸気エンジンとふたつのモーター、そして電子制御ドッグクラッチ マルチモードATを組み合わせ、駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載したシステムだ。
人気の秘密は、それぞれの個性と燃費の良さ
現在、日本仕様ではコンパクトカーのルーテシア、小型SUVのキャプチャー、そしてクーペSUVのアルカナの3モデルにE-TECHをラインナップ。2023年の受注実績では、ルノー車全体の2割がE-TECHモデルだという。また、E-TECHをラインナップしている3モデル購入者のうち、およそ半数がE-TECHフルハイブリッドを選んでいる。
この人気は、どこにあるのか。まずは、それぞれのモデルの個性だろう。今回、E-TECHの3モデルを同時に試乗する機会を得た。基本的に同じパワートレーンのE-TECHだが、アルカナは上質さ、キャプチャーは軽快さ、そしてルーテシアはスポーティと、その走り味は微妙に異なる。とはいえ、そのスムーズでダイレクトな走りっぷりは共通で、いずれも運転していて楽しい。それぞれの試乗レポートは、後日あらためてお届けする予定だ。
そして特筆すべきは、なんといっても燃費の良さ。WLTCモードで、アルカナとキャプチャーは22.8km/L、ルーテシアは25.2km/Lを達成している。この数値は、アルカナとキャプチャーは輸入車SUVナンバーワン、ルーテシアは輸入車ナンバーワンの低燃費を誇っている。実際、エコランを意識せずに乗っていても、車載の燃費計はWLTCの数値に近い値を表示する。
E-TECHを購入したユーザー層を見ると、アルカナはキャプチャーやルーテシアと比較して輸入車からの代替えがやや多く、しかもドイツ系のプレミアムブランドからの乗り換えも多い。購入後に気に入っているポイントを挙げてもらうと、どのモデルも1位は圧倒的に「ハイブリッドシステム」だった。ちなみに、アルカナとキャプチャーの2位が「外観デザイン」、3位が「燃費」。ルーテシアの2位が「クルマのサイズ」、3位が「外観デザイン」だった。