ノーマル車や標準車などというあり方を素直に喜べない、という人も少なくないだろう。そこに、どうしても“多数派のための妥協点”があると考えてしまうからだ。クルマ好きらしいもっと絞り込んだ仕様を望むならば、ワークスチューンは格好の存在だ。(Motor Magazine誌 2024年3月号より再構成)

新たなるフラッグシップが呼び覚ます「憧れ」

GRカローラをわかりやすく紹介すれば「エンジンや4WDシステムなどのランニングコンポーネンツを先行したGRヤリスから受け継ぎつつ完成された、カローラシリーズのスポーツフラッグシップ」ということになろう。

画像: 2022年12月2日に抽選申し込みの受付が開始された日本でのGRカローラRZ。販売台数は500台で、価格は525万円と設定された。取材車は一部改良のアップデートを実施した仕様。

2022年12月2日に抽選申し込みの受付が開始された日本でのGRカローラRZ。販売台数は500台で、価格は525万円と設定された。取材車は一部改良のアップデートを実施した仕様。

ただし、いずれもコンパクトなハッチバックボディに強力なエンジンを搭載した4WDモデルゆえ。両車の棲み分けがやや難解と受け取る人も現れるかもしれない。そこをトヨタでは、1970年代にWRCの舞台で活躍したTE25カローラやカローラレビンなどを引き合いに出しながら「ユーザーを虜にするカローラを取り戻すため」という趣旨で紹介する。

そもそもが競技の世界での勝利(のみ)を念頭に生み出されたGRヤリスに対し、こちらは絶対的なスピード性能とともに、シリーズ中のイメージリーダーという役割も大きいと考えられそうだ。

そうは言ってもGRカローラも実際の仕上がりは、単なるスポーティなレベルに留まらず、キャラクターは硬派そのもの。それはまず、生まれた環境を隠そうとしない、そのエクステリアデザインによってたっぷりと表現されている。

シリーズのハッチバックモデル「カローラスポーツ」をベースに前後のフェンダー部分を盛大に拡幅し、それに合わせてトレッドを広げたスタンスやフロントの巨大な開口部、ディフューザー処理が施されたリアエンド部分から顔を覗かせる特徴的な3本出しテールパイプなどで醸し出されるコンペティティブなルックスは、独自の迫力を演出。

フロント2席に用意されるパーフォレーション表皮のスポーツシートには除電機能が内蔵され、車体の帯電量を軽減して優れたスタビリティの確保に貢献・・・などという話題は、いかにもトヨタ車らしいポイントだ。

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