2025年9月1日に発売したMotor Magazine11月号の特集は「ザ・スーパーカー」。ド直球すぎるタイトルだが、いま再び、スーパーカーに焦点を当てる。今回はその中からPart1 ランボルギーニ編に登場したテメラリオの試乗記を紹介する。(撮影:永元秀和/アウトモビリ・ランボルギーニ S.p.A)

テメラリオが示す10000rpmの美学

画像: エンジン本体を眺めることはできない。ただしV8の文字の下にはイタリア語で「ORDINE DI ACCENSIONE(点火順序)」“15374826”と記されている。

エンジン本体を眺めることはできない。ただしV8の文字の下にはイタリア語で「ORDINE DI ACCENSIONE(点火順序)」“15374826”と記されている。

数字を並べると、NAのウラカンの最高許容回転数は8500rpmだったのに対し、テメラリオはターボで10000rpmに到達する。一般にターボは高回転まで回さずともパワーが出せるので、回す必要がないというのが定説。F1は1.6L V6ターボで15000rpmだが、それは低回転域をあまり必要としないから。高出力・高回転を目指せば、低回転では過給の立ち上がりがレスポンス低下を招くので、市販車のターボで高回転化する必然性は薄い。

では、なぜテメラリオは10000rpmを実現したのか。その答えのひとつはハイブリッド化。低回転域はクランクシャフトに直結したリアモーターとフロント2基のモーターが巧みにアシスト、4000rpm以降は大型タービンが本領発揮してトップエンドまで一気に吹け上がる。まさにNAとターボのいいとこ取りだ。

なぜそこまで高回転にこだわったのか。技術トップ、ルーヴェン・モール氏が『カーガイ』だからと片づけるのは簡単だが、その影響は確かに大きい。歴代の日産GT-Rなど国産スポーツカーを多数所有する氏は、日本のクルマ文化にも深い理解を示す。とりわけ1999年に登場したホンダS2000に衝撃を受けたという。「まさに日本のエンジニアリングと野心。同じように後世に伝えるエンジンを目指したかった」そして、どのセグメントにも存在しない、唯一無二の「10000rpm」を狙ったのだ。

仕様は資料でも多くを語らないが、フラットプレーンクランク、チタンコンロッド、鍛造ピストン、フィンガーフォロワー式バルブトレーン、DLCコート……などの採用が読み取れる。もちろんそれだけで到達できる世界ではない。点火、燃焼、そしてそれらを束ねる制御。「レース志向の高回転ユニットを量産で成立させる」という矜持が全体を貫いている。ちなみにコンロッドメタルは日本製。それも10000rpmを支える重要部品のひとつとなる。

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