新型フォルクスワーゲン ゴルフ(8.5)。ついに日本の道を走る時が来た。デザインやインフォテインメントの刷新もさることながら、肝心の走りにおいて、これぞゴルフ、と呼べる剛健さを見せてくれた。(Motor Magazine 2025年4月号より/文:島下泰久)

排気量と気筒数アップで走りの余裕は一段増した

走り出すと、すぐに違いを感じることとなった。全体に走りの余裕が一段増しているのだ。

最高出力116ps、最大トルク220Nmというスペックは、従来の1Lに対して6ps、20Nmの向上だから、数値的には大したことはないはずなのだが、やはり地力があるということだろうか。

低速域では、従来もエンジンの線の細さを19ps、56Nmの電気モーターがうまく補っていて、まったく不満はなかった。違いを感じるのはむしろペースを上げていった時の湧き上がるような力感で、従来の軽快に回る感じも嫌いではなかったが、多くの人が納得するのは、やはり新型の方だろう。

フットワークは相変わらずの軽やかさ。ゴルフ8登場時に驚いた、まるでフランス車かと思わせる足捌きのしなやかさは健在で、乗り心地がいいのに加えて、コーナーでタイヤを執拗に接地させ、スルリと駆け抜ける走りは実に楽しく、そして懐深さが感じられる。

画像: ゴルフ eTSI アクティブが装着する17インチホイール。リアサスペンションはアクティブのみトーションビーム式となる。

ゴルフ eTSI アクティブが装着する17インチホイール。リアサスペンションはアクティブのみトーションビーム式となる。

ただし、タイヤと路面のコンタクト感は、やや固めに感じられた。試乗車が履いていたのは燃費重視の銘柄だったから、その影響もあるのかもしれない。

続いてヴァリアントeTSIスタイルへ。ベースは同じエンジンと言えども、こちらは最高出力150ps、最大トルク250Nm。それでも今の時代、目を瞠るようなスペックではないが、車重もそれなりに嵩むヴァリアントを軽快に走らせてくれる。低速域からドライバビリティに優れ、回すほどにきれいにパワーが出てくる感覚は、程良くスポーティ。フォルクスワーゲンは内燃エンジン、続けないともったいない。

ホイールベースが50mm伸ばされたヴァリアントだが、乗り心地やハンドリングはちゃんとゴルフ。美点である優れた直進性、フラットな乗り心地はもちろん、コーナーが連続する区間での操る歓びだって失われていない。

画像: ゴルフ ヴァリアント eTSI スタイル。ホイールベースの延伸によりリアシートの膝まわりスペースがハッチバックモデルと比べて大幅に拡大されたヴァリアント。

ゴルフ ヴァリアント eTSI スタイル。ホイールベースの延伸によりリアシートの膝まわりスペースがハッチバックモデルと比べて大幅に拡大されたヴァリアント。

リアサスペンションは、eTSIアクティブのトーションビームに対して、eTSIスタイルでは4リンクと呼ばれるマルチリンクとなる。そのあたりもこの望外の旋回感の要因かもしれない。

ともあれ、どちらを選んでも紛れもないゴルフ。直撃するような面白みはないが、どんな場面でも快適で、信頼でき、運転の楽しさをしみじみ実感させてくれる。そんな仕上がりとなっていた。

初代や2代目の時代にゴルフというクルマの存在感を押し上げた一番の原動力は、圧倒的なハードウエア性能だったに違いない。それ自体が、まだ見ぬ世界に誘ってくれそうだというエモーションを喚起したのである。

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