英国勢の多彩で刺激的な進化にも魅了された
アストンマーティンは、ブランド史上最速のコンバーチブルと称賛されるDSBスーパーレッジェーラ ヴォランテを追加設定。しなやかさの中に力強さを秘めたスタイリングと、ワインディングロードを安心して楽しめる身のこなし、きわめて快適な高速クルージング性能に魅了された。ヴァンテージの7速MTモデルも、大胆不敵で興味深い存在だった。
ベントレーはコンチネンタルGTにV8を追加。W12とあわせて2タイプから選べるようになった。パワー感や威厳といった部分ではW12が上だが、軽快感やスポーティ性ではV8が優位。ギアボックスとのマッチングがいいのも、V8モデルの魅力である。
マクラーレンGTの登場も印象的だ。メカニズムの多くは他モデルと基本的に共通だが、エレガントなデザインと快適な乗り心地で人気を博している。
ルノー傘下のアルピーヌはA110の上級モデルとしてA110Sを追加。1.8Lターボエンジンは40ps上乗せされて292psを生み出すが、それ以上に注目されるのがサスペンションの強化。その恩恵はサーキット走行時のスタビリティとなって確実に享受できるものの、A110のあのしなやかさが失われたかと思うと残念。ただし、A110との価格差が100万円を切っていることもあり、現時点ではA110Sの方が人気という。
さて、コロナ禍に翻弄された2020年も間もなく幕を閉じる。2021年はどうなるのか?スポーツカーの世界でも電動化が着実に進む。2021年はそうしたモデルが次々と登場するが、中でも期待されるのはアウディeトロンGTとフェラーリSFストラダーレの2台である。eトロンGTはポルシェタイカンと共通のプラットフォームを用いるが、これをベースにアウディがどんなふうに味つけし直すかが楽しみ。
一方、フェラーリのカタログモデルとして史上最高のパフォーマンスを誇るSFは、ホンダNSXとよく似た3モーターハイブリッドシステムによりヨーコントロールを「電動化」。ドライビングダイナミクスをコンピューターが制御することになる。NSXとの味付けの違い、そして1000psのパフォーマンスを早く体験してみたい。いずれにせよ、2021年は平和な1年となることが望まれる。(文:大谷達也)