2020年のラグジュアリーカーセグメントでは、かねてからの宣言どおり「全車電動化」を果たしたボルボなど、次世代技術の投入が急加速しつつある。時代の流れを先んじ、遅れまいとするブランドごとの戦略が、明確化した2020年だった。(Motor Magazine2021年2月号より)
ADASと電動化で覇を競うラグジュアリーモデル
クルマづくりの華ともいえるビッグサルーンの開発は、現在、大きな分岐点に立っている。未来への道筋を示すふたつのテーマは、言うまでもなくADASと電動化だ。高価な新技術を吸収しやすい価格帯ということもあって、各社の先進性が盛り込まれやすいのもこのセグメントの特徴だ。
電動化にフォーカスすれば、いよいよポルシェ タイカンのデリバリーが開始されたことも2020年を象徴するニュースだろう。直近ではアウディがこのタイカンの技術をベースとしたe-tron GTの生産を開始したと発表している。
また、メルセデスが新しいアーキテクチャーと共に開発を進めてきたEQSは2021年の生産開始が明言されているほか、BMWも次期7シリーズにi7が設定されることを示唆。イギリス勢ではすでにジャガーがXJの電動化を明言、2021年の発表が予想されている。欧州勢によるビッグサルーンのBEV化はいよいよ待ったなしの様相だ。
もうひとつのテーマとなるADASについては、ホンダがレベル3走行機能を搭載したレジェンドの型式指定を取り付けたというトピックは大きい。適用は日本国内のみ、機能は制限されるが、それでもレベル3の市販化は世界初となり、ここでの前例が及ぼす影響は小さくはないだろう。