Eセグメントの進化の方向性に共通性が生まれた
2020年の状況を振り返ると、コロナ禍によるスケジュールの乱れなどもあってか、Eクラスと5シリーズのマイナーチェンジモデルがほぼ同時期にリリースされるという珍事が印象的だった。
新型Sクラスの意匠を先出ししたかのような存在感のEクラスは、ADASの機能進化やMBUXの採用も含めたユーザーインターフェースの改善など、静的項目における進化幅が大きい。日本初のARナビゲーションは、カメラで捉えた実像にルート指示などを重ねてリアルタイムで表現する。ローカライズを実現したインポーターの努力は推して知るべしだ。
一方の5シリーズも、やはり進化のポイントはADASになる。3シリーズで先行していたドライビングアシストプロフェッショナルを全車で標準装備。ハンズオフ機能付き渋滞運転支援や過去50mの軌跡を記憶し後退時にトレースするリバースアシストなどの機能が追加された。
Eクラス同様にAI対話型ボイスコマンドも採用。ライバル間での進化のベクトルは、確実に接近している。2020年フルモデルチェンジしたA6も含め、ドイツ御三家のEセグメントでの覇権争いは、その乗り味の密度の濃さも含めて、他国銘柄が付け入る隙はもはやないようだ。
そんなドイツ勢とは一線を画する進化の道筋を辿るのがボルボだが、2020年はいよいよ全車種のパワートレイン電動化が完了した。トップグレードのV90シリーズも例外ではなく、この秋、日本でも48Vマイルドハイブリッドシステム搭載モデルを導入。
ベルトドリブンのスタータージェネレーターで、エンジンの効率が悪い領域を効果的にアシストする。ボルボの野心的な目標は達成された上、それが時代の流れを見事に捉えてきたことには感服する。