ボルボ XC60のSUVとしての万能性は、日本でも広く知られている。一方で、ワゴンボディならではのスリークなスタイリングも確かに魅力。となれば、V60クロスカントリーはまさに絶妙なポジションにいる。(以下の記事は、Motor Magazine 2019年6月号より)

XCを凌ぐ荷室のゆとり。実用性に優れたパッケージ

一方、同時に試乗したXC60のスリーサイズは、全長4690×全幅1900×全高1680mm。つまりV60CCとの対比では全長が若干短く幅はほぼ互角。高さは格段に大きい、というわけだ。

ボディサイドに陰影の強いキャラクターラインを入れて躍動感を出しつつも、水平基調の穏やかなフォルムを基本としているXC60は、世に数多あるSUVの中では落ち着いた佇まいと言えるのだが、それでもこんもりとした背の高さは隠しようがない。幅方向もフェンダーエクステンションの追加で1895mmとなったV60CCに対し、XC60は正真正銘のワイドボディと言える。

全高のあるクルマで安定感のあるフォルムを作り出すと全幅が拡大傾向となるのは致し方ない。実際トレッドもわずかながらXC60の方が大きい。この大きさがメリットとなって現れているのがキャビン空間だ。XC60は高さ方向の余裕を生かして乗員の着座姿勢がややアップライトなものとなるが、それでも頭上空間は十分で開放感が強い。アイポイントの高さに伴う見晴らしの良さも魅力と言えよう。

画像: XC60のコクピットは北欧のクラフトマンシップでコーディネートされている。ほとんどの操作系はインパネ中央の9インチディスプレイに集約されている。

XC60のコクピットは北欧のクラフトマンシップでコーディネートされている。ほとんどの操作系はインパネ中央の9インチディスプレイに集約されている。

V60CCも標準のV60と比べればアイポイントは高めだが、見晴らしの良さにつながるほどではない。上下方向にややスリムなボディゆえ、乗員姿勢は上体が反りがちで頭まわりも包まれ感が強い。Dセグメントの中では全長方向に余裕があるため足もと空間などの余裕は十分。このあたりは好みの問題だ。

面白いのはラゲッジスペースである。通常、ワゴンよりもSUVの方が高さ方向の余裕が活かせるため容積が大きくなることが多い。実際のところボルボも先代のV60とXC60では、より多くの容積が必要な場合はXC、と明言していたのだ。しかし現行モデルではそれが逆転している。V60CCのラゲッジ容量は通常時529Lで拡大時には1441L。対してXC60は505L/1444Lと、通常時はわずかながらもV60CCの方が大きい。V60は容積型のミドルワゴンとして根強い人気を得ていたが、今はV90に統合されたV70のフォローも重要な役割。それを証明する実用的パッケージングだ。

今回試乗したCCとXCは、ともに254ps/350Nmを発生する2L直4ターボの「T5ユニット」を搭載し、トランスミッションは8速ATを採用する。駆動はともにAWD。XC60は全モデルAWDの展開だが、V60は前後輪をモーターで駆動するプラグインハイブリッドのみAWDで、それ以外はFWDだった。したがってピュアなガソリンモデルでAWDなのは、このV60CCが初だ。

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