エンジンの始動や動力補助を行うマイルドハイブリッド(48Vハイブリッド)を採用し、電動化を一気に進めてきたボルボ。今回は「B4/B5/B6」という3つのパワートレーンを搭載する3モデルに試乗して、それぞれの特徴とどんな違いがあるのかを検証してみた。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2021年1月号より)

エコなだけではなく運転が楽しめるハイブリッド

画像: パワーとトルク感が強く、2トン近い車重だが軽快に走れて気持ちがいい。

パワーとトルク感が強く、2トン近い車重だが軽快に走れて気持ちがいい。

B4から乗り換えると、B5はゆっくりアクセルペダルを踏み込んでいっても直後からB4よりトルクが太い感じがして、実際に加速もいい。とくにドライブモードをダイナミックに合わせると、エンジン回転数を常時2000rpm以上にキープし、8速ATのギヤを1段か2段低い方にして走るので、スポーツカー風なキビキビした走りができる。ハイブリッド車ということを忘れてしまいそうなプログラムだ。

B5はアクセルペダルの踏み始めから反応が良いのだが、急に踏み込んだ場合にはトルクの立ち上がりもそれなりに急になる。それでもB6ほど後から来るトルクは強烈ではない。

V60 B5撮影後も1週間ほど試乗することができたが、すっかり48Vハイブリッドに身体が馴染んでしまった。朝イチでエンジンをかける時も、アイドリングストップからの再始動でも、あのキュルキュルヴォーンがない。またアクセルペダルを踏み込んで加速する時もモーターが助けてくれるからトルクの立ち上がりは遅れることなく、スムーズな加速ができるので終始気持ちのいいドライブをすることができた。

V60は剛性の高いボディを持ったワゴンだが、重心位置が低くスポーティなドライビングにも適している。あまりハイブリッド車ということを意識しないで走れるところも美点だ。

48Vハイブリッドは通常のオルタネーターの代わりにISGM用のモーターが入り、二次バッテリーとしてリチウムイオンが追加されるが、これはそれほど大きなものではなく、重量もさほど増えない。そうなると48Vハイブリッドのメリットとデメリットを考えた時に、デメリットが少ない上にメリットの多さを強く感じた。

もうひとつ良かったのは、B4、B5、B6ともにあまりハイブリッドっぽくない点だ。エコに振りすぎて日常の走りで精彩を欠くようだと我慢の運転になるが、そんなことを感じさせないドライビングフィールが良かった。(文:こもだきよし/写真:永元秀和)

画像: 写真左からXC40 B4、V60 B5、そしてXC60 B6。三者三様の走りは、なかなか興味深いものだった。

写真左からXC40 B4、V60 B5、そしてXC60 B6。三者三様の走りは、なかなか興味深いものだった。

■ボルボ XC60 B6 AWD Rデザイン 主要諸元

●全長×全幅×全高:4690×1915×1660mm
●ホイールベース:2665mm
●車両重量:1940kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+スーパーチャージャー+モーター
●総排気量:1968cc
●エンジン最高出力:220kW(300ps)/5400rpm
●エンジン最大トルク:420Nm(42.8kgm)/2100-4800rpm
●モーター最高出力:10kW/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:フロント横置き4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・71L
●WLTCモード燃費:11.1km/L
●タイヤサイズ:255/40R21
●車両価格(税込):799万円

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