さまざまな縛りがある現代のクルマにおいて、驚異的な車両重量を実現したアルピーヌA110とマツダロードスター。この2台がこだわる「軽さ」は、楽しいスポーツモデルの条件のひとつである。(MotorMagazine 2024年6月号より再構成)

【インプレッション】我慢を強いない「軽さ」の幸せな「重み」

今日びのクルマといえば前だけでなく側後方からの衝突安全基準をクリアする必要があり、先進運転支援機能の搭載やインフォテインメントの充実、それに伴うハーネス類の増大やなんや……と、ともあれ軽く作ることが難しくなっている。それでも車両重量は燃費や材料原価に直で効くこともあって、エンジニアは設計段階からそこにしのぎを削るわけだ。

画像: ソフトトップ仕様なら、まさに「全開」の爽快感が楽しめる。

ソフトトップ仕様なら、まさに「全開」の爽快感が楽しめる。

画像: RFに比べるとやはり若々しいたたずまい。

RFに比べるとやはり若々しいたたずまい。

マツダロードスターが凄いのは、こういった現代的要件を可能な限り受け入れて、しかも耐久性を筆頭にマツダ的な商品基準をクリアしながら、ほぼ1トンの車両重量を実現していることにある。

23年冬のビッグマイナーチェンジではサイバーセキュリティ要件の更新も含めて電気まわりをごっそり入れ替えたおかげで最軽量モデルでも1010kgになったが、その直前までは1トンを切るグレードも存在したほどだ。

とりわけその車重がグレード名にもなった特別仕様車の990Sは、今どき稀有なまでの「軽さを速さでなく楽しさとして表現するサスペンションセッティング」が与えられ、クルマ好きの間で話題になったのは記憶に新しい。

扱いに我慢を強いられることのない軽さとしては、恐らくこの先には出会えないレベルだろうと踏んだ拙も、思わずそれに手を伸ばした。

そのロードスターには先代のNC型から、幌屋根を2分割のハードトップ化し、電動開閉するRHTという派生モデルがあった。幌屋根のモデルとは耐候性や機密性といった実務的な差別化が図られていたわけだが、現行のND型にはそこに幌屋根とは異なるファストバッククーペ的な佇まいという新たな価値も加わった。

RFというグレード名は「リトラクタブル・ファストバック」の略だ。

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