エネルギーや環境問題が取り沙汰されて、一時期は絶滅危惧種かと思われていた乗用車のマルチシリンダー エンジンだが、スーパースポーツカー メーカーを中心に新たなムーブメントが起きつつある。ここでは、注目のモデルを中心にマルチシリンダー エンジンについて考察してみたい。

ランボルギーニ レヴエルト

画像: エンジン単体でも825hpと725Nmを発生する、レヴエルトの6.5L 自然吸気V12エンジン。

エンジン単体でも825hpと725Nmを発生する、レヴエルトの6.5L 自然吸気V12エンジン。

2023年にアヴェンタドールの後継モデルとして登場したレヴエルト。歴代のフラッグシップモデルと同様、V12エンジンをミッドシップ搭載するが、3基のモーターと組み合わされたプラグインハイブリッド システムをランボルギーニのカタログモデルでは初採用した。

エンジン単体でも825hpと725Nmを発生する6.5Lの自然吸気V12エンジンだが、モーターとの組み合わせでシステム最高出力は1015hp、0→100km/h加速は2.5秒、そして最高速度は350km/h以上。モーターのみでのEV走行も可能で、このときの全体的なCO2排出量はアヴェンタドール ウルティマエよりも30%低く抑えられている。

レヴエルトは、まさにランボルギーニの謳う「HPEV(ハイパフォーマンスEV)」にふさわしいフラッグシップとなった。2024年には全モデルを電動化(フルEVという意味ではない)、2025年にはCO2排出量を50%削減、さらに2030年には80%以上の削減を目指している。

フェラーリ ドーディチ チリンドリ

画像: ドーディチ チリンドリのフロントボンネットは前ヒンジで開き、美しいV12エンジンを見やすくしている。

ドーディチ チリンドリのフロントボンネットは前ヒンジで開き、美しいV12エンジンを見やすくしている。

2024年5月にワールドプレミアされ、6月には早くも日本で公開されたフェラーリの新たなフラッグシップ、「ドーディチ チリンドリ」。イタリア語で「12気筒」を示す言葉をそのまま車名にするほど、フェラーリは12気筒エンジンにこだわっている。

それもそのはず、エンツォ・フェラーリが「すべては12気筒から始まった」と語ったように、フェラーリの歴史はV12エンジンの歴史でもある。1947年の創業時、最初に世に出たフェラーリのエンジンはV12だったし、日本では1960年代に「275GTB」がV12エンジンを搭載したフェラーリとして、初めて正規輸入されている。

しかも、ターボやモーターなどのアシストに頼らず、自然吸気でのパフォーマンスとサウンドを追求している。ドーディチ チリンドリのV12エンジンも従来のものを進化させ、最高出力は830ps、しかも最高回転数は9500rpmに引き上げ、それでいながら最大トルクの80%を2500rpmから発揮する。

新たな排気システムは最新の排出ガス規制に準拠し、大径タイヤや8速DCTの採用で加速性能や高速での航続距離を向上させている。もはやフェラーリといえども、環境や燃費を無視したクルマ作りは、ありえないのだ。

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