ドイツ発のワゴンたちがこれほど世界的に定着した所以のひとつに、この2台の存在は決して小さくないだろう。ブランドの“らしさ”を追求し続けてきたからこそ、見い出せる魅力がそこには必ずある。今回はそんな思いで、2台を連れ出してみることにした。(MotorMagazine2024年10月号より再構成/文:河村康彦/写真:永元秀和)

「底辺」を支えるに相応しい両者なのである

長い歴史を持つ内燃機関に加え、そこにマイルドハイブリッドシステムをアドオンした電動化ユニット。さらには電動走行も可能なフルハイブリッドユニットにその駆動用バッテリーを大容量化したうえで外部充電機能を持たせたプラグインハイブリッドシステム。そして一切の内燃機関を搭載しないピュアEV・・・と、ユーザーがざっとこれだけの心臓部を選択できるのが今という時代。

画像: 取材時にゴルフヴァリアントTDIを高速道路で約200kmほど走らせたところ、メーターの平均燃費は29km/Lという驚きの数値を表示。これが続くならば満タンで1000km以上は楽にいけそうだ。

取材時にゴルフヴァリアントTDIを高速道路で約200kmほど走らせたところ、メーターの平均燃費は29km/Lという驚きの数値を表示。これが続くならば満タンで1000km以上は楽にいけそうだ。

ただしパワーユニットはかくも“豊潤”な一方で、ボディ形態に目を転じると「SUV一色」と紹介できそうな状況が世界的に広がっているのはご存じのとおり。一世を風靡した日本メーカーの作品はすっかり数を減らし、減少傾向にあるものの結果として相対的に目立つ存在となっているのが欧州発のステーションワゴンだ。

中でもドイツブランドが手掛けるものはユーティリティ性の高さにフォーカスした比較的ベーシックなキャラクターの持ち主から、装備や各部の仕上げに贅を凝らしたプレミアム感漂うラグジュアリーなモデル。

さらには一級スポーツカーも顔負けという走りの性能を前面に押し出したスポーツモデルまで、現在でもさまざまな内容の持ち主が名乗りを上げる。

50mm延長されたホイールベースが変えたもの

ここに取り上げるのは、その中の「ベーシックスタンダード」とでも言うべきカジュアルで身の丈感の高い2台。フォルクスワーゲンの『ゴルフ ヴァリアント』とBMWの『3シリーズ ツーリング』は、欧州発のステーションワゴンの中で共に老舗的な存在だ。

画像: 現行ゴルフシリーズはデジタル化されたインフォテインメントが特徴だが、その使い勝手には課題が残る。

現行ゴルフシリーズはデジタル化されたインフォテインメントが特徴だが、その使い勝手には課題が残る。

自身のステーションワゴンを「ヴァリアント」と呼称するフォルクスワーゲンのモデル中でも、圧倒的に高い知名度を誇るゴルフのそれは長い歴史の持ち主。ベースとなるハッチバックボディにさらに高い積載性能を誇るステーションワゴンが追加されたのは3代目から。

ただし、前述のように現在は「ヴァリアント」を称するこのブランドのステーションワゴンも、日本でそうしたサブネームが冠されたのは5代目ゴルフをベースとした作品以降となる。

そんなゴルフのステーションワゴンはハッチバック仕様よりも大きなリアのオーバーハングとそれに伴って伸びた全長を採ることで構築されてきた。最新版ではその手法に加えホイールベースを50 mm延長。

これにより、さらに均整のとれたプロポーションと適性の高いクルージング時の安定性を手に入れた。言い変えれば「これまで以上に独り立ちしたキャラクターの持ち主」といった表現も、あながち誇張には当たらないだろう。

実は日本に導入されるゴルフシリーズは、内外装のリファインやインフォテイメントシステムのアップデートなどを主なメニューとした「改良型」の導入をすでに発表済み。

すなわち今回テストドライブを行った『ヴァリアントTDI Rライン』は現行型の末期にあたるが、採用するランニングコンポーネンツや各種の主要スペックは不変で、最高150ps を発する2L直4ディーゼルターボエンジン+7速DCTというパワーパックも継続で搭載される。

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