第8世代ゴルフの大幅改良モデル「ゴルフ8.5」の詳細が2025年1月に発表されるのを前に、「ゴルフ eTSI アクティブ」とゴルフ ヴァリアント eTSI R-Line」の日本仕様を取材することができた。ここでは「ゴルフ8」との違いも含めて解説していこう。(文:河村康彦/写真:永元秀和 MotorMagazine 2025年2月号より)
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ウイークポイントに徹底的なてこ入れ

2024年は、1974年に初代ゴルフが発表されてから半世紀という節目の年。偉大な兄貴分であるビートルの流れを受け継いで今日に至るまでの50年間で世に問われたのは8世代のモデルたち。その合計の販売台数は全世界で3700万台以上にも達し、フォルクスワーゲンファミリーの中にあっても紛れもなく「ブランドの中核を成す」と言えるモデルへと成長を遂げたのは、ご存じのとおりの史実である。

画像: eTSI Activeのフロントマスクは、上品な印象。“開口部とマットブラックのパーツの面積を縮小したデザイン”は、GTIやR-Lineとの差別化になっている。

eTSI Activeのフロントマスクは、上品な印象。“開口部とマットブラックのパーツの面積を縮小したデザイン”は、GTIやR-Lineとの差別化になっている。

ここに紹介するのはそんなゴルフの最新モデルで、2019に発表された現行型のマイナーチェンジバージョン。前述のように生誕50周年にあたる2024年1月に本国発表され、日本でもすでに受注開始しているこのモデルでは、マイナーチェンジのメニューの定番でもある内外装のブラッシュアップに加えてインフォテインメントシステムの刷新、一部パワーユニットの変更などを実施。公称ではないがこのモデルは〝ゴルフ8.5〟と呼ばれ、前期型との区別が図られることになっている。

過去に比べれば相対的に周辺ライバル車との評価の差は縮まる傾向にあるのは事実とはいえ、現在でもクラスを代表するモデルとして筆頭にその名前が挙がるのがゴルフというモデル。

実際、走りのバランスの良さは今回ロングドライブを行ったマイナーチェンジ前の〝ゴルフ8〟での印象からも改めて確認。テストドライブを行ったのはシリーズ内でもベーシックな「アクティブ」グレードだったが、とくに、高速安定性や静粛性の高さは「やはりこれはクラスのトップランナーだな」と再度実感をすることに。そのうえで、これまでそんなゴルフ8でのウイークポイントと指摘されてきた部分に徹底的なテコ入れが図られたのが、間もなくデリバリーが開始されるゴルフ8.5の大きな見どころと言えそうだ。

見やすくて使いやすいデザインと機能性の集約

日本に上陸したての最新モデルの静的チェックを行ったところ、とくに弱点として報告されることの多かったナビゲーションシステムを筆頭とするインフォテインメント系のアイテムは、なるほどその使い勝手が大きく改善されていることを確認。

画像: 10.25インチから12.9インチへとセンターディスプレイが大型化。フローティングタイプの大画面は地図の細かな文字や各種設定項目の視認性を大幅に向上。スワイプによる画面転換やホーム画面の編集などの機能も使いやすい。

10.25インチから12.9インチへとセンターディスプレイが大型化。フローティングタイプの大画面は地図の細かな文字や各種設定項目の視認性を大幅に向上。スワイプによる画面転換やホーム画面の編集などの機能も使いやすい。

まず進化のほどがひと目で見て取れるのが、グンと大きくなったセンターディスプレイ。従来型の10.25インチから12.9インチへとサイズアップが図られたそれは、隣に並ぶメーターパネルを凌ぐ大きさとなり、率直なところクラスター全体の一体感という点ではやや後退した印象は拭えない。一方で、画面サイズに余裕が生まれたことで上部にはドライブモードやADAS機能の設定アイコンなど、また下部には空調やシートヒーターのスイッチアイコンを新たに常時表示させることが可能となり、ワンアクションでの操作ができるようになって使い勝手が格段に向上している。

さらに、エアコン温度調整とボリューム調整のスライダーバーも大幅改良。従来、タッチ操作方式でありながらディスプレイの直下にレイアウトされていたために誤入力を起こしやすく、また表示部にバックライトがないため「フォルクスワーゲンがなぜこんな設計を……」と思わず声を上げたくなったもの。新型ではディスプレイ内アイコンとの距離が大きく取れたことでミスタッチを起こしづらくなると同時に、夜間照明が導入されて、比較的頻繁に触れる機能が圧倒的に使いやすくなったのは、安全性にも直結するポイント。

「ようやくフォルクスワーゲン車らしいデザインになった」ともろ手を挙げて歓迎したくなるリファインと報告できるポイントだ。

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