ランボルギーニ ムルシエラゴ(LAMBORGHINI MURCIELAGO:2001〜2010)

伝統のシザードアは健在。丸みを帯びたディアブロから、再びエッジの効いたカウンタックに近づいた感もある。
スーパーカーブームの主役となりながらも1970年代からさまざまな経営難に直面し、何度も出資元が変わってきたランボルギーニだが、1998年にアウディの傘下になる。そんなアウディ傘下となったランボルギーニの第1弾が、2001年のフランクフルト モーターショーで発表された「ムルシエラゴ」だ。
その車名は例によって闘牛の名前に由来するのではなく、スペイン語で「コウモリ」の意味。攻撃的なキャラクターを強調する斬新なデザインは、ランボルギーニのチーフデザイナー、リュック・ドンカーヴォルケによるもので「コウモリ」を名乗るムルシエラゴのダークヒーロー的な魅力をよく表現していた。
ムルシエラゴは、ディアブロの後継にあたるランボルギーニのフラッグシップだ。言い方を変えればディアブロが11年ぶりにフルモデルチェンジを果たし、車名を変更したともいえる。つまり、基本設計の良いところはディアブロから引き継がれている。
パワーユニットは、ディアブロと同様の60度V12 DOHC48バルブだが、ディアブロに搭載されていたものよりもストロークをアップして、排気量は6Lから6.2Lまで拡大されている。デビュー時のパワースペックの492psから580psへ、最大トルクは同じく580Nmから650Nmへと、大幅に向上されている。
ディアブロとの大きな違いは、駆動方式がミッドシップ4WDだけになったこと。また、ディアブロではカウンタックと同様に後輪を駆動するためのプロペラシャフトがオイルパン内を貫通していたが、それを車体右側に移し、潤滑方式をドライサンプ化してエンジン搭載位置を下げている。フロントの駆動に関してはトランスミッションが前方にあるという意味では取り出しやすく、合理的な設計だった。

エンジンは60度V12のDOHC48バルブ。鋼管スペースフレームに補強として貼り付けられたCFRPパーツも見える。
トランスミッションもディアブロの5速MTから現代的な6速MTに変更された。後には「eギア」と呼ばれるセミATを採用。また積極的に前輪にも駆動力を配分する4WDシステムなど、メカニズムも野心に満ちたものだった。
シャシは角断面を持つ鋼管スペースフレームで、これはディアブロと基本的には同じだが、剛性不足を解消するためにリアフレーム部の鋼管にCFRPなどのコンポジットを貼り付けるといった改善も行われている。カウンタック~ディアブロからの流れを引き継いだウエッジ基調のスタイリングは、シザードアを含めてムルシエラゴに引き継がれている。ただし、デザインそのものはランボルギーニ社の内製といわれている。
ムルシエラゴはデビュー当初の6.2Lから始まり、2004年にはセミAT(eギア)搭載車やロードスター、2006年には6.5Lエンジンを搭載したLP640(最高出力640psから命名)と進化し、最終的には2009年に登場したLP670-4スーパーヴェローチェ(最高出力670ps)まで到達する。まさに新生ランボルギーニを強く印象づけるモデルとなった。
メカニズム的にアウディから強い影響を受けているわけではないが、デビューした後の展開にはアウディのこのモデルに対する思いが感じられる。そしてその成功が2011年登場のアヴェンタドールへと繋がっていく。

LP640のリアビュー。どこから見てもランボルギーニと分かるスタイルは、ムルシエラゴにも引き継がれた。
ランボルギーニ ムルシエラゴ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4580×2045×1135mm
●ホイールベース:2665mm
●車両重量:1650kg
●エンジン種類:60度V12 DOHC
●総排気量:6192cc
●最高出力:580ps/7500rpm
●最大トルク:650Nm/5400rpm
●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・100L
●トランスミッション:6速MT/6速AMT
●駆動方式:リア縦置きミッドシップ4WD
●タイヤサイズ:前245/35ZR18、後335/35ZR18
 
				
				
 
						
						







 
							 
							 
							