スポーツモデルでもスバルの信条をないがしろにしない
最初に試したのはWRX S4。低速域ではいかにもダンピングレートが高そうなソリッド感が伝わってくるが、車速を上げるにつれてサスペンションのしなやかさが強調されるようになり、快適性は高い。それでいてボディはフラットに保たれる、いかにもSUBARUらしいセッティングだ。しなやかな足まわりは荒れた路面やコーナリング中でも安定したグリップ力を約束してくれるので、安心感やスタビリティは高いレベルにある。これもまたスバルの「安心・安全」思想を具現化したものといえる。

スバル WRX S4 STIスポーツ R-BLACK リミテッド:高速巡航時には快適な走りからグランドツーリング性能にも長けていると感じた。またCVTはダイレクト感があり、ネガティブな印象は一切なかった。
エンジンはフラットトルクゆえに回転域を問わず従順で扱い易く、その一方でトップエンドまできれいに回る。また、スポーツ派ドライバーからしばしば苦言が呈されるCVTだが、そういった向きはマニュアルモードを用いてステップドギアのMTに近い感覚を手に入れようとしているのではないか。
私はSTI S210の試乗会でレーシングドライバーの久保凜太郎選手から「Dレンジのほうがむしろ速い」という話を聞いて以来、スバルのCVTモデルでは積極的にDレンジを試してきたが、WRX S4でスポーツモードを選ぶと、Dレンジでもエンジン回転数を常にパワーバンド内に留める制御に切り替わり、MT以上にパワフルでスポーティなドライビングが楽しめるようになる。
もっとも、これはスバル独自のCVT制御プログラムが無段階変速のポテンシャルをフルに引き出すからこそできる芸当。というわけで、スバルのスポーツモデルでもマニュアルモードにこだわってきた方々には、ぜひ、このDレンジを試していただきたい。

SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)と前後輪のトルク配分をセンターデフで前45:後55に不等配分するVTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)を組み合わせて旋回性能と走行安定性を両立した。
このように「安心・安全」が強調されていて、シャシもエンジンもほどよく洗練されているWRX S4は、快適なだけでなくダイナミックな走りもできるが、「ヒリヒリするような刺激感」には欠ける。その点、スプリントタイプのスポーティモデルというよりはロングツーリング向きのグランドツアラーと捉えた方がよさそうだ。




