「ホットハッチ」という言葉があるとおり、コンパクトハッチバックにスポーツ性を求める声は今も昔も変わらずある。そんな需要に応えるかのようなスポーツ性と、MTゆえのクルマを操る感覚を味わわせてくれる国産車、ホンダ シビックRSとマツダ3 ファストバック Xツーリングを連れ出し、それぞれの愉しさを探求した。(Motor Magazine 2025年5月号より/文:島下泰久、写真:平野 陽、根本貴正)

軽やかで小気味良いシビック。しなやかで素直なマツダ3

では実際に走らせるとどうか。まずはシビックRSに乗り込む。

印象的なのは、やはりエンジンだ。過給ユニットらしく2000rpmあたりからトルクが湧き上がり、登り勾配でも力強く加速していく。トップエンドは6000rpmを過ぎたあたりで頭打ちになるが、そこまでの勢いは良く、野太いサウンドも相まってスポーティな感触を楽しめる。しかも、短いストロークでカチッと決まる6速MTの感触がたまらない。シフトアップ時の回転落ちも素早く、その小気味良さにシフトチェンジを繰り返したくなる。

適度に引き締められたサスペンションはロールを抑え込み過ぎず、ワインディング路にちょうど良い。荒れた路面ではヒョコヒョコとした動きも出るが、ガツンと突き上げたり安っぽい挙動変化をもたらすことはない。それでも正直、高速巡航中はもう少し動きを落ち着かせたいところだが、RSを選ぶオーナーならば許容範囲と踏んだのだろう。

画像: ホンダ シビック RS。エクステリアデザインから感じられるスポーツモデルらしさは少なく、どこか大人な印象を受ける。

ホンダ シビック RS。エクステリアデザインから感じられるスポーツモデルらしさは少なく、どこか大人な印象を受ける。

マツダ3ファストバック Xツーリングに乗り換えると、こちらのステアリングホイールは明らかに細身で繊細、また直径はわずかに小さそうだ。表皮は適度な柔らかさがあり、手に吸い付くような感触で、操舵感は絶品。良いモノに触れている実感が嬉しい。

アクセルペダルはオルガン式。こちらの6速MTはシフトストローク長め、かつ適度なしなり感があり、最後ゲートに吸い込まれる瞬間にカチッと決まる。操作にストーリーがあるのだ。

そんなタッチも含めて走りの質感は想像以上に別物で、マツダ3は操作系だけでなく挙動のすべてがしなやかなのである。減速から操舵して旋回姿勢に入り、立ち上がるまでの一連の挙動は、まるでひと筆書きのよう。

トーションビーム式としたマツダ3のリアサスペンションは、つねに安定した接地感を保ち続け、ストロークしても動きは素直で車体が無駄にあおられたりはしない。しかも、4WDらしくアクセルペダルを踏むほどにピタッと落ち着いてくる。走ることが好きなオトナにとっては、たまらないシャシに違いない。

画像: マツダ3 ファストバック Xツーリング。たおやかに波打つようなボディパネルのうねりは美しさを感じられる、マツダ3ハッチバックの魅力のひとつ。ウインカーランプがゆっくりと明滅するスタイルも個性的で美しい。

マツダ3 ファストバック Xツーリング。たおやかに波打つようなボディパネルのうねりは美しさを感じられる、マツダ3ハッチバックの魅力のひとつ。ウインカーランプがゆっくりと明滅するスタイルも個性的で美しい。

肝心のパワーユニットは、まるで素直な自然吸気エンジンのよう。回転上昇とともにパワーが高まり、トップエンドまで勢い良く到達する様には、内燃エンジンを操る悦びが詰まっている。

そして改めて感心させられたのがアクセルオン/オフ操作に対するツキの良さである。これぞ、まさに圧縮着火の恩恵だろう。混合気を吹いて、火花を飛ばして、次第に燃え広がるのではなく、圧縮された混合気が一気に自己着火するだけに、タイムラグがないのだ。

この類まれな好レスポンスこそスカイアクティブXの旨味。ツキが良いから変速も意のままに決まる。レブマッチシステムは備わらないが、好ましいペダルレイアウトのためヒール&トゥは容易だから、リズミカルに楽しめる。フットワークを含め、すべてに統一感あるのがマツダ3の走りなのだ。

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