2021年の輸入車市場もSUVカテゴリーが活気づいていた。ライフスタイルの変化を見据えた魅力的な新型車やマイナーチェンジモデルの投入が相次ぎ、どのタイミングで購入したら良いのか迷う。この勢いは2022年も続きそうだ。(Motor Magazine2022年2月号より)

地道な商品改良を続けるBMWのXモデルたち

BMWのXモデルも、すでに登場から時間のそれなりに経過しているモデルたちが多いが、多くのモデルに相次いで改良が施された。X3とX4はより精悍なデザインとすることを念頭に、キドニーグリルを一体構造にしてパワフルな印象を生んでいる。また空力特性に優れたフロントバンパーを採用するとともに、最新のヘッドライトデザインを取り入れるなどフロントデザインを一新、リアもリフレッシュが図られている。

ADASも最新世代へと進化した。「ドライビング アシスト プロフェッショナル」を標準装備し、高速道路での渋滞時に向けた「ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能」を新たに採用。さらに、直前に前進した最大のルートを記憶し、同じように後退で正確に戻ることのできるリバースアシスト機能を装備した。

ベース車の改良にともないアルピナのXD3とXD4にも変更があり、前後デザインを再設計したほか、エンジン出力を向上させた。同じ3.0L直6ディーゼルながら、ビターボチャージングシステムを搭載するXD3は、最高出力を22ps増の355ps、最大トルクを30Nm増の730Nmまで、クアッドターボチャージングシステムを搭載するXD4は、同6ps増の394ps、30Nm増の800Nmまで、それぞれマッピングの最適化により性能を引き上げている。

可変スポーツステアリングも改良され、これまでにも増してシャープで応答性に優れるハンドリングを実現したほか、各輪のブレーキを最適に制御するパフォーマンスコントロールの採用によりコーナリング性能の大幅な向上も図っているという。両モデルとも予約受付は2021年9月より始まっているが、少量生産のアルピナらしく例によって日本導入は22年春以降の予定となっている。

また、X5、X6、X7のディーゼル車には48VのMHEVを搭載するとともに、X7には直6エンジンに初めてマルチステージターボチャージャーを採用してシステムを最適化し、ピエゾインジェクションによる最新のコモンレールダイレクトインジェクションを組み合わせ大幅な出力を向上させるなどアップデートが図られた。

一方、メルセデスでは、なんとメルセデ スマイバッハにGLSが登場した。メルセデスSUVのハイエンドの中のハイエンドとして、ベントレーやロールスロイスに対抗すべく送り込まれた同車の2729万円という価格は、意外やカリナンに比べるとずっと安い。

大柄ながら4座とされた室内空間の仕立ては圧巻というほかない。4L V8エンジンもマイバッハとして相応しく、出力やトルクのピーク値をあえて落としてドライバビリティを優先させている。ちなみに21年分の日本向けの割り当ては、発売からほどなく上限に達したらしい。恐るべしというほかない。

同じくラグジュアリーSUVの象徴的存在であるベンテイガには、高性能版の「スピード」とPHEVの「ハイブリッド」が追加された。「スピード」は、時流とは異なりスピードのようなモデルを求める層の期待に応えるため。改良前にもベンテイガには「スピード」と名づけられたハイパフォーマンスモデルが設定されていたが、改良後の新型にも追加設定された。

一方で、急激に進む電動化の時代にあって、初の電動車がPHEVという形でラインナップされた。3L V6ツインターボエンジンに17.9kWhのリチウムイオンバッテリーと128psのモーターを搭載し、電力だけで最大約50kmの走行が可能。システム最高出力449ps、最大トルク700Nmとして、0→100km/h加速も5.5秒という俊足ぶりだ。

画像: ベントレー ベンテイガ ハイブリッド。2020年にマイナーチェンジを実施したベンテイガ。4LのV8ツインターボに加え、6LのW12ツインターボを搭載する「スピード」を、そして2021年7月には3LのV6ターボとモーターを組み合わせたPHEVモデル「ハイブリッド」の国内発売も開始。V8モデル(550ps/770Nm)に匹敵する動力性能は電動化されてもベントレーの名に恥じないものだ。

ベントレー ベンテイガ ハイブリッド。2020年にマイナーチェンジを実施したベンテイガ。4LのV8ツインターボに加え、6LのW12ツインターボを搭載する「スピード」を、そして2021年7月には3LのV6ターボとモーターを組み合わせたPHEVモデル「ハイブリッド」の国内発売も開始。V8モデル(550ps/770Nm)に匹敵する動力性能は電動化されてもベントレーの名に恥じないものだ。

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