スポーツカーにとって、速さを備えていることは確かに魅力のひとつだ。だが本質はそこではない。身体とクルマがひとつになったように走ることの喜び。あえて3ペダルMTの2台でその嬉しさを感じる。(MotorMagazine2024年6月号より再構成)

気持ち良さを決めるのは、繋がって楽しめるかどうか

一時は消えてなくなりそうな気配だったが、小型スポーツカーの復権があったことで日本市場でも一定のニーズが育まれ、それなりの選択肢を並べることはできる。

画像: かつては多様なストレート6エンジンのラインナップを誇ったトヨタ車。現在ではスープラRZが搭載するBMW製B58B30Bエンジンが日本仕様で唯一の存在。

かつては多様なストレート6エンジンのラインナップを誇ったトヨタ車。現在ではスープラRZが搭載するBMW製B58B30Bエンジンが日本仕様で唯一の存在。

画像: Mモデルの搭載エンジンは型式が「S」から始まる専用設計のもの。S58B30A型はツインターボ仕様。6速MTとの組み合わせはM2の他、M4クーペにも設定。

Mモデルの搭載エンジンは型式が「S」から始まる専用設計のもの。S58B30A型はツインターボ仕様。6速MTとの組み合わせはM2の他、M4クーペにも設定。

今回は、BMW製のストレート6エンジンを積んだ、けれども個性のまるで異なる2台のスポーツモデルに焦点を当てて、MTを駆る喜びについて再発見してみよう。

3ペダルはもちろん、2ペダルにしても変速のタイミングを自ら決めるマニュアル変速をした場合、気持ち良いかそうでないかを決める要素は、結局のところ操られるエンジンの特性に左右される。

自分自身で変速、たとえばシフトアップの瞬間を決めるということは、エンジンと繋がって楽しむ時間の長さを決められる、ということだからだ。

そうなると当然、高回転域まで引っ張って楽しいエンジンであればあるほど、マニュアル変速は楽しいという理屈になる。

今や過給器付きとなり、往年の、具体的にはE46以前のような、シルキーと称された官能性こそ薄れたとはいうものの、BMW製ストレート6エンジンは今の時代にあって、十分に「回して楽しいエンジン」だと言える。

実は、エンジンが普通であってもMT操作の楽しいクルマは存在する。たとえば、マツダロードスターのようなライトウエイトスポーツカーで、3ペダルに限って言えば、手足の駆使が車体の動きとダイレクトに連動する感覚=車体との一体感を楽しめるからだ。

それはさておき今回の2台、BMW M2クーペとトヨタGRスープラRZには、S型とB型の違いはあれども3LターボのBMW製エンジンを積んでいるという点は共通する。

これはよく知られているように、スープラがBMWとトヨタのコラボレーションによってZ4と同時に開発されたという経緯によるもの。それが証拠に、スープラのコクピットに座れば、そこかしこにBMWの存在を感じることができる。

スープラには当初、2ペダルAT仕様の用意しかなかった。一方でZ4の本国仕様には当然の如く3ペダル仕様が存在していたので、早くからスープラ版の3ペダル導入を望む声は多くあった。

デビューからおよそ3年経って投入されたマニュアルのRZは、果たして、期待を超えて楽しいスポーツカーであった。

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